非居住者に係る金融口座情報の自動交換のための報告制度の整備

速報 平成27年度(2015年度)税制改正解説

1. 改正の概要

  • 外国の金融機関を利用した国際的な脱税・租税回避に対処するため、G20首脳は各国の税務当局間で非居住者の金融口座情報の自動的交換をすることに合意しました。これに伴い、以下の報告制度が創設されます。
  • 銀行等の金融機関の日本国内における営業所等で口座開設等をする者は、その金融機関に対してその者の氏名、居住地国等を記載した届出書の提出が必要になります。
  • 届出書の提出を受けた金融機関は、その届出書の記載事項等に基づき口座開設等を行った者の居住地国を特定しなければなりません。
  • 口座開設等に係る契約のうち報告対象契約(※)がある場合には、その口座開設等の契約をした金融機関はその口座等に関する情報をその金融機関の本店所在地等の所轄税務署に報告する必要があります。

※報告対象契約 = 日本の租税条約等の相手国等のうち一定の国又は地域を居住地国とする者が行う口座開設等に係る契約をいいます。

 

k03図1

(※1) 氏名、住所、生年月日、居住地国、その者の居住地国が外国の場合には居住地国における納税者番号等を記載する。

(※2) その年の12月31日において報告対象契約がある場合には、その契約者の氏名、住所、生年月日、居住地国、居住地国における納税者番号、その年の12月31日における契約財産の価額、その年における契約財産の運用・保有・譲渡による収入金額等の情報をその年の翌年4月30日まで所轄税務署に提供しなければならない。

〇 平成29年1月1日以後から適用される。

 

2. 実務上の留意点

[ 口座開設等を行う者に関する留意点 ]

  • 届出書の提出が必要になる者には、個人だけでなく法人も含まれる。また、法人が一定の要件を満たす特定法人である場合には、特定法人自身の届出書に加えて、その支配者である個人の届出書も提出する必要がある。
  • 届出書の不提出・虚偽記載に対する罰則が設けられる。
  • 届出書の提出後に居住地国の異動があった場合には、再度異動後の居住地国等を記載した届出書の提出が必要になる。

[ 金融機関に関する留意点 ]

  • 報告事項の不提供・虚偽記載に対する罰則、報告事項の提供に関する調査の検査忌避等に対する罰則が設けられる。
  • 平成28年12月31日以前に口座開設等を行った者についても、その保有する記録を検索する等の方法で口座開設等を行った者の居住地国を特定する必要がある。

3. 今後の注目点

  • 上記の報告を行わなければならない金融機関は、大綱上「報告金融機関」と定義し限定されているが、その具体的な範囲
  • 口座開設等の取引は、大綱上「特定取引」と定義されているが、その具体的な内容
  • 報告対象となる契約の契約者は、「日本の租税条約等の相手国等のうち、一定の国又は地域を居住地国とする者」とされているが、その具体的な国又は地域
  • 届出書や報告事項の不提出・虚偽記載に対する罰則、報告事項の提供に関する調査の検査忌避等に対する罰則の内容
  • 届出書の提出が必要になる者の要件に定義されている、「特定法人」と「支配者」の具体的な内容

 

 

 

 

内容につきましては、「平成27年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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