所得拡大促進税制の改組

速報 平成30年度(2018年度)税制改正解説

1. 改正の概要

  • 所得拡大促進税制とは青色申告書を提出する法人が、国内雇用者に対して支給する給与等を一定額増加した場合等に、その増加額の一定割合に相当する金額を法人税額から控除することができる制度である。
  • 今年度改正により、賃上げ及び人材投資に積極的に取り組む企業に対する当該税制措置が強化される。

(1) 中小企業者等以外(大企業)における所得拡大促進税制

  • 適用要件について、「賃上げに関する要件」が簡素化され、新たに「設備投資に関する要件」が追加される。
  • 教育訓練費が増加した企業については、税額控除率が上乗せされる。

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(※1)「雇用者給与等支給額」とは、国内雇用者(法人の使用人(一定の者を除く)のうち国内の事業所に勤務する雇用者)に対する給与等の支給額をいう。
(※2) 雇用者給与等支給額(一定の給与等を除く)を、適用年度における給与等月別支給対象者(一定の者を除く)の数の合計数で除した金額をいう(平均給与等支給額)。
(※3)「教育訓練費」とは、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるための費用であり、以下の項目が該当する。
イ:その法人が教育訓練等(教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものをいう。)を自ら行う場合の外部講師謝金、外部施設等使用料等の費用
ロ:他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合のその委託費
ハ:他の者が行う教育訓練等に参加させる場合のその参加に要する費用
(※4)「比較教育訓練費の額」とは、前期及び前々期の教育訓練費の額の年平均額をいう。

 

(2) 中小企業者等(適用除外事業者(※1)を除く)の所得拡大促進税制

  • 適用要件について、「賃上げに関する要件」が簡素化される((1)で追加された「設備投資に関する要件」はなし)。
  • 教育訓練費が増加した企業については、税額控除率が上乗せされる。
  • 大企業の所得拡大促進税制の制度との選択適用が可能である。

h01_02(※1)「適用除外事業者」とは、事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度(基準年度)の所得の金額の年平均額が15億円を超える法人をいう。
(※2)「雇用者給与等支給額」とは、国内雇用者(法人の使用人(一定の者を除く)のうち国内の事業所に勤務する雇用者)に対する給与等の支給額をいう。
(※3) 雇用者給与等支給額(一定の給与等を除く)を、適用事業年度における給与等月別支給対象者(一定の者を除く)の数の合計数で除した金額をいう(平均給与等支給額)。
(※4)「教育訓練費」とは、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるための費用であり、以下の項目が該当する。
イ:その法人が教育訓練等(教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものをいう。)を自ら行う場合の外部講師謝金、外部施設等使用料等の費用
ロ:他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合のその委託費
ハ:他の者が行う教育訓練等に参加させる場合のその参加に要する費用

2. 適用時期

平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度について適用される。

3. 実務上の留意点

  • 「設備投資に関する要件」の判定基準に注意が必要。
    (設備投資額は当期取得のみを集計、減価償却費は当期の全額を集計)
  • 「1人当たり平均給与」を計算する際の「継続雇用者」の範囲が、適用年度及び前期において給与等の支給がある一定の雇用者から、適用年度及び前期の全期間の各月において給与等の支給がある一定の雇用者に見直される予定。
  • 中小企業者等は、(2)の適用要件を満たさない場合でも、(1)の適用要件を満たすことで本税制の適用が可能。
  • 中小企業者等は、給与増加額に対して最大22%控除可能だったものが原則15%の控除となる(教育訓練費の増加等、一定の要件を満たせば25%の控除)。
  • 中小企業者等から除外される適用除外事業者の制度は、平成31年4月1日以後開始事業年度から適用される。
  • 法人事業税の計算において、大企業の適用要件を満たすときは、給与等支給増加額(適用年度の雇用者給与等支給額前期の雇用者給与等支給額)を付加価値割の課税標準から控除可能である。
  • 法人住民税の計算において、中小企業者等は、税額控除後の法人税額に法人住民税率を乗じて計算する。

4. 今後の注目点

  • 「教育訓練費」に関する具体的な内容及び範囲
  • 「継続雇用者」の範囲
  • 中小企業が、外部中核人材の登用した場合、生産性の低い業種に分類される場合に対する支援策の有無(経済産業省 要望)

 

 

内容につきましては、「平成30年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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