情報連携投資等の促進に係る税制の創設
速報 平成30年度(2018年度)税制改正解説
1. 改正の概要
青色申告書を提出する法人が、企業内外のデータを連携・高度利活用し生産性の向上を図る等、「生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)」の革新的データ活用計画(仮称)に基づき、一定の設備の取得等を行った場合に、特別償却又は税額控除ができる制度が創設される。(※) 適用要件
① 青色申告書を提出する法人
②「生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)」における革新的データ活用計画(仮称)の認定を受けること
③ 革新的データ活用計画(仮称)に従ってソフトウエアを新設し、又は増設した場合で一定の取得価額(※1)以上の情報連携利活用設備(※2)の取得等をし、事業の用に供すること
取得価額 (※1) | 対象資産 (※2) | 税制措置 (選択適用) | |
特別償却 | 税額控除 | ||
5,000万円以上 | ソフトウエア 機械装置 器具備品 |
取得価額×30% |
・(※3) の要件を満たす場合 ・(※3) の要件を満たさない場合 |
(※1) そのソフトウエアとともに取得又は製作をした機械装置又は器具備品がある場合には、これらの取得価額の合計額を含む。
(※2) 対象となる情報連携利活用設備とは、取得価額5,000万円以上のソフトウエア(※1)、機械装置及び器具備品をいい、開発研究用資産を除く。なお、機械装置は、データ連携・利活用(※4)の対象となるデータの継続的かつ自動的な収集を行うもの又はデータ連携・利活用による分析を踏まえた生産活動に対する継続的な指示を受けるものに限る。
(※3) 平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が3%以上であること。
(※4) データ連携・利活用とは、革新的データ活用計画(仮称)に基づく「生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)」の革新的データ活用(仮称)のうち次の要件を満たすものをいう。
① 次のいずれかに該当すること。
(イ) 他の法人若しくは個人が収集若しくは保有をするデータ又は自らがセンサーを利用して新たに取得するデータを、既存の内部データとあわせて連携し、利活用すること。
(ロ) 同一の企業グループに属する異なる法人間又は同一の法人の異なる事業所間において、漏えい又は毀損をした場合に競争上不利益が生ずるおそれのあるデータを、外部ネットワークを通じて連携し、利活用すること。
② 次の全てが行われること。
(イ) 上記①(イ)又は①(ロ)の各データの継続的かつ自動的な収集及び一体的な管理
(ロ) 上記①(イ)又は①(ロ)の各データ同士の継続的な連携及び分析
(ハ)上記②(ロ)の分析を踏まえた生産活動に対する継続的な指示
③ 上記②(イ)から(ハ)までを行うシステムのセキュリティの確保等につきセキュリティの専門家が確認をするものであることその他の要件を満たすこと。
2. 適用時期
「生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)」の施行の日から平成33年3月31日までの間に一定の設備の取得等をし、事業供用した資産に適用される。
3. 実務上の留意点
- 所得税についても同様の改正が行われる。
- 地方税について、特別償却を選択した場合は、法人住民税及び法人事業税に適用されるが、税額控除を選択した場合、中小企業者等に係る法人住民税のみに適用される。
- 対象金額が5,000万円以上としていることから、ある程度規模の大きなIoT機器等の設備取得を前提にしている。
4. 今後の注目点
- 「生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)」の施行日及び制定内容について。
- 革新的データ活用計画(仮称)の具体的な内容及び申請・認定方法について。
- セキュリティ確保等の確認の具体的方法。
内容につきましては、「平成30年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
税制改正の最新情報など、山田&パートナーズの税務情報のニュースレター登録は以下から