組織再編税制における適格要件(従業者引継要件・事業継続要件)の緩和

速報 平成30年度(2018年度)税制改正解説

1. 改正の概要

従業者引継要件及び事業継続要件を適格要件とする組織再編成を行った場合において、その後に完全支配関係がある法人間で従業者又は事業を移転することが見込まれているときは、当該当初の組織再編成における従業者引継要件及び事業継続要件を満たすこととする。

 

【イメージ】共同事業を行うための合併

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  要件 内容 判定
改正前 従業者引継要件 B社の合併直前の従業者のうち、おおむね80%以上が、合併後にA社の業務に従事することが見込まれない 非適格
事業継続要件 B社の事業が、合併後にA社において引き続き行われることが見込まれない

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改正案 従業者引継要件 完全支配関係があるC社に、B社の従業者又はB社の事業を移転することが見込まれている
→ 合併における従業者引継要件及び事業継続要件は満たす
適格
(他の適格要件を
満たした場合)
事業継続要件

 

(参考)

適格組織再編成(※)の各要件 100%
グループ間
50%超
100%未満
共同事業
① 金銭等不交付
合併法人等の株式のみを交付
② 支配関係 完全支配関係(再編後も関係継続見込み) - -
支配関係(再編後も関係継続見込み) - -
③ 株式継続保有
被合併法人等の発行済株式の50%超を保有する企業グループ内の株主がその交付を受けた合併法人等の株式の全部を継続して保有することが見込まれること(50%超を保有する企業グループ内の株主がいる場合に限る)
- -
④ 事業関連性
被合併法人等の被合併事業(主要な事業のうち、いずれかの事業に限る)と合併法人等の合併事業が相互に関連するものであること
- -
従業者引継
被合併法人等の従業者のおおむね80%以上が合併法人等の業務に従事する見込みであること
-
事業継続
被合併法人等の被合併事業等が、合併法人等において合併等後に引き続き営まれることが見込まれていること
-

⑦経営参画(a)又は事業規模(b)

(a) 合併等前の被合併法人等の特定役員のいずれかと、合併法人等の特定役員のいずれかが、合併等後に合併法人等の特定役員になることが見込まれていること

(b) 被合併法人等の被合併事業等と合併法人等の合併事業等のそれぞれの売上金額、従業者の数、資本金額若しくはこれらに準ずるものの規模の割合がおおむね5倍を超えないこと

- -

※ スピンオフによる組織再編成は除く

2. 適用時期

大綱に特段の記載なし。

3. 実務上の留意点

合併後において、合併法人の事業規模や効率性を考慮した場合に、被合併法人の従業員を必要としないときもある。
100%グループ内で人員や事業を移転した際には、適格要件(従業者引継要件及び事業継続要件)を満たされることとなると、グループ内組織再編後で、より有効的に人員や事業の移転・配置転換等も可能となり、組織再編成の活性化が考えられる。

4. 今後の注目点

  • 当該改正の対象となる当初の組織再編成の具体的な内容
  • 従業者又は事業の移転の方法等

 

 

内容につきましては、「平成30年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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