地域未来投資促進税制の見直し及び延長

速報 令和5年度(2023年度)税制改正解説

1. 改正の概要

地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度(地域未来投資促進税制)の要件等を見直した上、適用期限を2年延長する。

内容 改正前 改正後
右記以外の類型 サプライチェーンの強靭化に資する類型 右記以外の類型 サプライチェーンの強靭化に資する類型
適用対象法人 一定の地域で一定の事業を行う法人(青色申告法人) 改正なし
適用要件 ① 地域経済牽引事業計画について都道府県の承認を受けること
② 承認された事業計画に基づき、特定地域経済牽引事業施設等を新設又は増設し、事業の用に供すること  
(本制度の対象となる金額の上限は80億円)
③ 地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律による一定の基準に適合することについて、国の確認を受けること
改正なし
一定の基準(先進性に関する基準) ・事業の先進性の確認に当たっては、投資収益率又は労働生産性の伸び率が一定水準以上であることが見込まれることを確認すること ・海外に生産拠点が集中している一定の製品の製造をすること及びその地域経済牽引事業計画が実施される都道府県の行政区域内でその製品の承認地域経済牽引事業者の取引額の一定水準以上の増加が見込まれることを確認すること 改正なし 改正なし
特定重要物資として指定された物資の製造に係る事業については該当しない
・評価委員の評価精度の向上に向けた措置がなされる
特定非常災害に関する特例 ・一定の事業の実施場所が特定非常災害により生産活動の基盤に著しい被害を受けた地区である場合には、その計画承認日が特定非常災害発生日から1年を経過していないときは、一定の基準を満たすものとする 改正なし

 

内容 改正前 改正後
適用対象資産 機械装置・器具備品 建物・附属設備・構築物 機械装置・器具備品 建物・附属設備・構築物
課税特例の要件 ①先進性を有すること
②設備投資額が2,000万円以上であること
③設備投資額が前事業年度減価償却費の10%以上であること
④対象事業の売上高伸び率が、ゼロを上回り、かつ過去5事業年度の対象事業の市場規模の伸び率+5%を上回ること
①先進性を有すること
②設備投資額が2,000万円以上
③設備投資額が前事業年度減価償却費(※)20%以上であること
※)対象事業者が連結会社である場合にあっては、同一の連結の範囲に含まれる他の会社の前連結会計年度における減価償却費の額の合計額を加えた額
④対象事業の売上高伸び率が、ゼロを上回り、かつ過去5事業年度の対象事業の市場規模の伸び率+5%を上回ること
税制措置
(選択適用)
特別償却

① 原則(②以外)     
基準取得価額×40%
② 上乗せ措置
(次の要件を満たす場合)     
基準取得価額×50%

【要件】
平成31年4月1日以降に承認を受けた事業のうち、下記のいずれにも該当すること

① 前事業年度の付加価値額(※)増加率が8%以上
② 労働生産性の伸び率が4%以上、かつ投資収益率が5%以上

但し、サプライチェーン類型に基づく申請は対象外
(※)付加価値額=営業利益+給与総額+租税公課

基準取得価額×20%

① 原則(②以外)     
基準取得価額×40%
② 上乗せ措置(次の要件を満たす場合)     
基準取得価額×50%

【要件】
改正前の要件に加えて、新たに次の①~③のすべてを満たした場合も追加する

① 前事業年度及び前々事業年度における平均付加価値額が50億円以上であること
② 承認地域経済牽引事業が3億円以上の付加価値額を創出すると見込まれるものであること
③ 労働生産性の伸び率、及び投資収益率が一定水準以上となることが見込まれること
但し、サプライチェーン類型に基づく申請及び特定非常災害に関する特例により主務大臣の確認を受ける申請は対象外

改正なし
税額控除

① 原則(②以外)     
基準取得価額×4%

② 上乗せ措置(上記【要件】を満たす場合)    
基準取得価額×5%

基準取得価額×2%

① 原則(②以外)     
基準取得価額×4%

② 上乗せ措置(上記【要件】を満たす場合)     
基準取得価額×5%

改正なし
控除限度額:法人税額×20% 改正なし

 

2. 実務上の留意点

2023年(令和5年)4月1日から2025年(令和7年)3月31日までの間に事業の用に供した資産に適用される。

3. 今後の注目点

主務大臣の確認要件に関する見直し及び上乗せ要件の追加がなされる

 

 

内容につきましては、「令和5年度税制改正大綱」に基づき、情報の提供を目的として、一般的な概要をまとめたものです。そのため、今後国会に提出される予定の法案等を確認する必要があり、当該法案等において本資料に記載した内容とは異なる内容が制定される場合もありますのでご留意ください。対策の立案・実行は専門家にもご相談のうえ、ご自身の責任において取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

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