税のトピックス

2024年7月29日

  • 所得税

国税庁、DC制度への移行に伴い資格得喪者(移行月の退職者)に支払われる分配金の退職所得該当性についてを公表

国税庁、DC制度への移行に伴い資格得喪者(移行月の退職者)に支払われる分配金の退職所得該当性についてを公表

国税庁は、「確定拠出年金制度への移行に伴い同制度の資格得喪者(移行月の退職者)に対して支払われる確定給付企業年金制度の終了に伴う分配金の退職所得該当性について」をホームページに公表しました。

 

本件は、確定給付企業年金制度(DB制度)から企業型確定拠出年金制度(DC制度)への移行を予定している会社から、移行月に退職する者に対して給付されるDB制度の残余財産の分配金は、所得税・退職所得として取り扱って差し支えないか照会されたものです。

 

DB制度、DC制度いずれも、その加入者が退職したときに、規約に基づいて一時金が支払われた場合には、その一時金は所得税法上、「退職所得」として取り扱われます。

退職以外の事由で支払われる一時金は、退職所得には該当せず、原則として「一時所得」として取り扱われます。

そこでDB制度終了後に退職した者が受け取るDB残余財産の分配金は、退職によりDB制度から受け取る一時金そのものではない(DB制度終了時にはまだ退職していない)ことから、退職所得として取り扱ってよいのか疑義が生じたため、国税庁(大阪国税局)に照会されました。

 

このDB残余財産の分配金は、DB制度が終了するまではDBの加入者であった者が、DC制度への移行によりDCの加入者資格を取得した後に、その退職を理由として遡ってDCの加入者でなかったものとみなされる(注)ことにより、確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける一時金です。

そのことを踏まえると、本件分配金は加入者の退職により支払われるものと解するのが相当であり、退職所得として取り扱って差し支えない、と考える照会者に対して、国税庁は「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。」としています。

確かに、このDB残余財産の分配金は退職をしなければ支給されないものであること、DB制度が存続していれば当然に「退職所得」として取り扱われること等を鑑みると、「退職所得」と考える方が自然かもしれません。

 

(注)DC制度では、確定拠出年金法により、DC加入者の資格を取得した月にその資格を喪失した者は、その資格を取得した日に遡って、DC加入者でなかったものとみなされます。

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