税のトピックス

2025年3月10日

  • 税制改正
  • 所得税

2025年度(令和7年度)税制改正法案、修正案も衆議院通過

2025年度(令和7年度)税制改正法案、修正案も衆議院通過

2025年度(令和7年度)税制改正法案および修正案が、衆議院で可決されました。自民党・公明党の両党が当初の税制改正法案を修正する法案を国会に提出し、当初の法案と併せて衆議院で可決されました。

修正案の内容は、所得税の基礎控除の特例を創設し、当初改正案にさらに控除額を上乗せするものです。

r70317いわゆる「103万円の壁」の見直しで、これにより所得税課税最低限は、改正前の103万円から160万円(一般的な社会保険料支払いがある場合、188万円)に引き上げられます。

高所得者優遇とならないよう、1人当たり2~4万円前後に平準化される形で所得税が減税され、この見直しによる所得税減税額は、1.2兆円にのぼるそうです。

 

〈図2〉
r070317-2出典:自民党HPお知らせ「基礎控除さらに上乗せへ」

 

修正案を見ると、2点気になる箇所があります。

一つ目は、特例による基礎控除の額は段階的に減少していますが、その1段での差額が最大20万円ある点(上記図1②と③)です。給与収入475万円だと基礎控除額は88万円ですが、給与収入が476万円に1万円増えたときの基礎控除額は68万円と20万円少なくなります。その結果、所得税額が、税率5%としても単純計算で1万円(20万円×5%)増えるため、給与収入が1万円増えても手取りは増えないことになります。

二つ目は、上記図1は恒久的措置、上記図2~4は期間限定措置としている点です。もし期間終了と同時に2~4の特例が廃止されると、給与収入が200万円から201万円に増えた時、基礎控除額が「37万円」減少します。その結果、税率5%とすると単純計算で所得税額が18,500円増えるため、給与収入が1万円増えても手取りは減ることになります。

r070317-3いずれのケースも、もう少し給与収入が増えれば、「手取りが減る」という逆転現象は解消されますが、「103万円」とは異なる新たな壁につながりかねず、気になるところです。

 

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