海外デスクレポート

2025年3月14日

米国連邦職員に対する退職勧奨大幅整理の影響点 (米国)

米国連邦職員に対する退職勧奨大幅整理の影響点 (米国)

2025年1月に開始した第二次トランプ政権では、さっそく1月末に連邦職員の大規模整理に着手しました。退職勧奨として発表された「Deferred Resignation Program」は、26日までに辞任の申し出をすれば、8カ月間の有給休暇が与えられるというものです。26日時点で、約6万人の連邦職員が受け入れを表明したと報道されています。また、連邦職員の労働組合は連邦地裁に訴えを起こし、退職勧奨が一時差し止になる可能性があるなど、混乱が早くも生じています。

 

税務面での懸念点は、IRS職員が連邦職員であることです。IRS職員は、確定申告時期の混乱を招くことを防ぐため、特別に5月までこのプログラムの利用が一部制限されています。ただし、申告書提出後のIRS内のプロセスは5月以降にも及ぶことと、IT活用等による業務効率化の進捗が不透明な状況です。

 

確定申告はTax Returnと呼ばれるように、特に個人では還付となることが多く、これら還付手続きは通常でも数ケ月間を要します。職員の欠員により対応が滞ってしまうことで通常よりも還付が遅くなってしまう影響が懸念されています。

 

例えば、米国非居住者等が有する米国不動産を譲渡する場合には、取引額に対して連邦源泉税15%及び州税の源泉徴収がされます。申告により還付される部分も高額となることがありますが、この還付資金を再投資にあてる計画を立てている場合には、還付が遅れることで、投資計画にも影響を与えてしまいます。

 

 

標準の
申告期限
延長申請時の
申告期限
個人 4/15 10/15
12月決算法人 4/15 10/15
1月決算法人 5/15 11/15
2月決算法人 6/15 12/15
3月決算法人 7/15 翌年1/15
4月決算法人 8/15 翌年2/15
5月決算法人 9/15 翌年3/15
6月決算法人 9/15 翌年4/15
7月決算法人 11/15 翌年5/15
8月決算法人 12/15 翌年6/15
9月決算法人 翌年1/15 翌年7/15
10月決算法人 翌年2/15 翌年8/15
11月決算法人 翌年3/15 翌年9/15

 

※ 上記表は、米国居住者、米国法人の原則的な取り扱いです。米国非居住個人及び米国非居住法人では一部上記と異なります。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 遠藤 元基

    この記事の著者

    遠藤 元基
    Yamada & Partners USA, Inc.
    パートナー 日本税理士・公認不正検査士

    2007年税理士法人山田&パートナーズ東京本部入所、2011年福岡事務所開設・同所長就任。2019年よりベトナム及びタイに駐在。2023年より米国駐在。エステートプランニング、クロスボーダーM&A、グローバル組織再編、海外子会社不正調査など幅広い業務に対応。

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