海外デスクレポート

2025年1月9日

上海市(中国)の住宅購入制限の緩和および住宅ローンの最低頭金比率の引下げ (中国)

上海市(中国)の住宅購入制限の緩和および住宅ローンの最低頭金比率の引下げ (中国)

上海市政府は住宅購入刺激策として929日に上海市非居住者に対する住宅購入制限の緩和や住宅ローンの最低頭金比率の引き下げなどの措置を発表し、この措置は101日から適用されます。

中国の不動産市場の低迷は4年前から続いており、上海市では今年5月にも大規模な住宅購入刺激策を実施しました。今回の措置もそれに続くもので更なる刺激を期待しています。またこの措置は中国の中央政府の方針に沿うもので上海市以外にも広州市や深圳市でも住宅購入促進のため、購入制限や住宅ローンの規制緩和の措置を実施しています。

上海市で実施される措置の具体的な内容は下記の通りです。

  • 上海市非居住者(上海市の戸籍を持たない世帯および成人の独身者)が上海市内で住宅を購入する場合には上海市に対して3年以上の個人所得税と社会保険料の納付が必要でしたが、市内の環状道路の外側の住宅の購入であればその納付期間が1年以上に緩和されました。
  • 必要と認められた他地域出身の人材に対し付与する「上海市居住証」を持ち、かつ居住証のポイント制度で一定のポイントを獲得している者に対しては、上海戸籍保持者と同様の条件で住宅を購入することができます。適用には個人所得税と社会保険料の納付期間が3年以上必要となります。
  • 上海市内浦東新区の中国(上海)自由貿易試験区の臨港新区に勤務先がある者は、既存の住宅購入戸数制限とは別に臨港新区内で1戸の購入が可能になります。
  • 銀行で組む住宅ローンの最低頭金比率の引下げ(下表参照)に加え、金利の高い時期に組まれた既存の住宅ローン金利を最新の金利水準に近づけるよう商業銀行に指示しました。

 

改正内容

従来

2024年5月改正

2024年8月改正

住宅購入時の最低頭金比率

1軒目

30%

20%

15%

2軒目

40-50%

35%(郊外は30%

25%

1軒目の住宅ローン最低金利

LPR – 10bp

LPR – 45bp

 

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 大井 高志

    この記事の著者

    大井 高志
    税理士法人山田&パートナーズ パートナー
    亜瑪達商務諮詢(上海)有限公司 総経理
    税理士 公認不正検査士

    2013年山田&パートナーズ入所。大手金融機関への出向後、2016年より上海へ赴任。中国系会計事務所への出向を経て2019年より現職。中国・香港・台湾における組織再編、進出・撤退支援、M&A関連業務、移転価格税制コンサルティング、コーポレートガバナンス、不正調査対応等のコンサルティング業務に従事。

海外デスクレポートに戻る
すべて見る

CONTACT US

弊社へのご質問、ご依頼、ご相談など
各種お問い合わせはこちらにご連絡ください。

お問い合わせはこちら