海外デスクレポート

2025年1月14日

ベトナム改正社会保険法 (ベトナム)

ベトナム改正社会保険法 (ベトナム)

2024年629日、ベトナム国会は改正社会保険法を可決しました。2014年の社会保険法と比較すると、改正社会保険法は、社会保険に加入する従業員の権利と利益を拡大し、国民の長期的な社会保障を確保する方向で多くの変更が加えられており、202571日より発効されます。

 

【社会保険加入対象者の拡大】

  • 事業世帯主
  • 給与が支払われている企業の経営者、管理者、国家資本の代表者、企業および親会社の企業資本の代表者
  • パートタイムで勤務し、月額給与が最低義務社会保険料の基礎となる給与以上の従業員
  • 労働契約が締結されていない又は別名義の協定が締結されているが、有給雇用を示す内容がある場合

 

【年金受給権の拡充】

  • 年金や毎月の社会保険給付金を受けていない75歳以上の国民は、国家予算によって保証された年金給付を受ける権利を有すると規定
  • 従来は拠出期間が20年以上だったところ、15年以上社会保険料を支払った従業員は、毎月年金を受け取る権利があるように改正
  • この最低拠出年数に関する規定は、労働能力の低下による年金受給者には適用されないことを追加
  • 遅延加入者、または断続的に加入している者についても、15年間の保険料積立により、年金受給資格の付与

 

202471日より、公務員の基礎賃金が30%引き上げられ、社会保険料の算定にあたる標準月額報酬の上限が3,600VND(≒22万円)から4,680VND(≒29万円)に増加したことによる社会保障の拡充とも考えられます。

社会保険はベトナムにおける労働者については加入義務があり、適正に手続きと保険料の納付を行うことが必要となります。

一方でベトナム企業側の社会保険料負担も増加することになることから、資金の捻出には留意する必要があります。

 

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 川越 太介

    この記事の著者

    川越 太介
    税理士法人山田&パートナーズ
    海外事業部 部長 税理士

    2006年に大阪の税理士法人にて勤務。2017年に税理士法人山田&パートナーズに入所。日本国内では相続、事業承継、組織再編やM&Aなどの業務に従事しており、現在、ベトナムにおける税務・会計サービスを提供している。主な対応可能業務は会計税務顧問、進出支援、不正調査・内部統制、DD、VAL、移転価格コンサルティングなどである。

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