2024年6月29日、ベトナム国会は改正社会保険法を可決しました。2014年の社会保険法と比較すると、改正社会保険法は、社会保険に加入する従業員の権利と利益を拡大し、国民の長期的な社会保障を確保する方向で多くの変更が加えられており、2025年7月1日より発効されます。
【社会保険加入対象者の拡大】
- 事業世帯主
- 給与が支払われている企業の経営者、管理者、国家資本の代表者、企業および親会社の企業資本の代表者
- パートタイムで勤務し、月額給与が最低義務社会保険料の基礎となる給与以上の従業員
- 労働契約が締結されていない又は別名義の協定が締結されているが、有給雇用を示す内容がある場合
【年金受給権の拡充】
- 年金や毎月の社会保険給付金を受けていない75歳以上の国民は、国家予算によって保証された年金給付を受ける権利を有すると規定
- 従来は拠出期間が20年以上だったところ、15年以上社会保険料を支払った従業員は、毎月年金を受け取る権利があるように改正
- この最低拠出年数に関する規定は、労働能力の低下による年金受給者には適用されないことを追加
- 遅延加入者、または断続的に加入している者についても、15年間の保険料積立により、年金受給資格の付与
2024年7月1日より、公務員の基礎賃金が30%引き上げられ、社会保険料の算定にあたる標準月額報酬の上限が3,600万VND(≒22万円)から4,680万VND(≒29万円)に増加したことによる社会保障の拡充とも考えられます。
社会保険はベトナムにおける労働者については加入義務があり、適正に手続きと保険料の納付を行うことが必要となります。
一方でベトナム企業側の社会保険料負担も増加することになることから、資金の捻出には留意する必要があります。
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