投資登録証明書とは外国投資家がベトナムで法人を設立するために、取得を要する証明書となります。当該証明書は外国投資に対してベトナム政府が許認可を与えたことを証明する書類のため、ベトナム資本100%の法人はIRCを取得する必要はありません。ただ、設立時はベトナム資本100%だったが、その後出資者の変更で外国資本が入った場合には、そのタイミングでIRCの申請を行う必要があります。
IRC申請の中では、外資規制に抵触しないか、投資形態・投資内容は適正か、投資家その他当事者の能力等の審査をします。
(審査の概要)
- 投資家の法的資格の審査
投資企業の登記簿謄本、法的代表者のパスポートなどの証明書類を審査します。
- 投資家の財務能力の審査
下記いずれか1つ以上の書類の提出を求め審査をします。
- 投資家の直近2年間の財務報告書
- 親会社の財務支援誓約書
- 金融機関の財務支援誓約書
- 投資家の財務能力に関する保証
- 投資家の財務能力を証明するその他の書類
- 事業内容の審査
事業内容、事業規模、資本金および資金調達計画案、投資場所、投資期間、投資スケジュール、投資実施場所の土地使用状況に関する情報などを審査します。そのため、申請準備として、事業ライセンスの具体的な内容、事業計画の立案、現地法人の設立場所の賃貸契約、投資期間、総投資額、定款資本金の決定などが必要となります。
設立する場所の賃貸契約が必要となることから、現地法人が設立される前に不動産賃貸契約を締結しなければならない点は留意事項です。また、総投資額とは、その法人の定款資本金額と借入金額の合計のことで、IRC申請時にその枠を決めて申請します。登録する借入金は1年超の返済期間を要する長期借入金だけの枠であり、短期借入金はこの枠には含まれません。
将来、事業内容や投資場所、総投資額、定款資本金を変更したい場合には、IRCの変更申請が必要となります。
申請書類は管轄の計画投資局へ提出をした後、計画投資局からの要望に従って、追加書類の提出や記載内容の変更が必要になる場合があります。法令上はクリアしていても、担当官の判断で修正を求められるケースが少なくありません。例えば最低資本金ルールが適用されない事業であっても、定款資本金の増額、総投資金額の増額を要求されたり、投資期間の短縮を求められるということがあります。何故、その資本金額なのかなど、意思決定いただいた内容に対して1つ1つ説明可能な論理を用意して、申請することが重要になります。
- 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
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