1. 概要
2025年2月18日(火)に2025年度の予算案(Budget)が公表されました。
今年度は、予想を上回る法人税収の確保ができた状況ではあるものの、引き続き財政支出が増える見込みであるため、シンガポールが世界から選ばれ続ける存在になるための優位性を強化することをはじめとして、昨年に引き続き、概ね同様の経済政策を打ち出しています。
予算案における税制改正項目として、法人税制においては、法人税(2025年賦課年度)の50%を払い戻す「CITリベート」及び特定の条件を満たす企業に現金を給付する「CITリベート現金助成」の支援策(1社当たり最低:2,000SGD、上限:40,000SGD)の導入、キャピタルゲイン課税の改正(2026年1月1日以降)等がされます。
また、個人税制においては、引き続き生活コストの上昇に対応するため、2025年賦課年度を対象に個人所得税の60%を払い戻す措置が講じられます(1人当たり上限:200SGD)。
その他にも税額控除制度などの優遇税制についても期限の延長や改正が行われます。今回はキャピタルゲイン課税について、現行制度と改正内容について記載いたします。
2. キャピタルゲイン課税に関する特別規定
現行の規定では、法人が処分(譲渡)する株式が、次の①及び②に該当する場合、その株式を処分(譲渡)したことにより生じる利益については、課税されない規定となっています。
① 株式の処分(譲渡)前、最低24か月以上、20%以上の割合で保有していること。
② 株式の処分(譲渡)が2016年6月1日から2027年12月31日までの間に実施されること。
公表された予算案では、課税の対象外となる範囲について、さらに拡大することが明らかになりました。具体的には、会計基準において投資株式として保有することが認められている株式の処分、株式保有割合の算定においてグループ単位で実施することが予定されています。詳細については、2025年第3四半期までに発表される予定です。
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