国税庁は、ホームページに「令和元年台風第19号調整率表」を公表しました。
この調整率は、令和元年台風第19 号に係る『特定非常災害の発生直後の価額』(相続税・贈与税関係)を求めるためのもので、
①令和元年10月10日以後に相続税の申告期限が到来する方が令和元年10月9日以前に相続等
②令和元年10月10日から令和元年12月31日までの間に相続等
③平成31年1月1日から令和元年10月9日までの間に贈与
④令和元年10月10日から令和元年12月31日までの間に贈与
により取得した特定地域内にある土地等の価額を計算するために用います(①及び③の場合は、令和元年10月10日において所有していたものに限ります。)。
災害により被害を受けた地域にある土地等の地価は、災害前と比較して下落することが想定されます。そこで、災害発生日前に相続等により取得した特定地域の土地等を、相続税・贈与税を算定するために評価する際には、その土地等の価額を取得時の時価によらず、災害発生直後の価額によることができるとする特例が設けられています。
発生直後の価額は、この調整率を令和元年分の路線価及び評価倍率(路線価等)に乗じて計算することができます。
【計算例】
イ 路線価地域の場合
令和元年分の路線価 …100,000 円、調整率 …0.80
災害発生直後の路線価 = 100,000 円 × 0.80 = 80,000 円
ロ 倍率地域の場合
令和元年分の評価倍率…1.1 倍、調整率…0.80
災害発生直後の評価倍率 = 1.1 × 0.80 = 0.8
調整率は、特定地域(相当な損害を受けた地域として財務大臣が指定する地域)ごとに定められています。最も調整度合いが大きい地域は宮城県丸森町の一部で、調整率は0.6となりました。このほか、長野県長野市の一部で0.65、福島県いわき市の一部で0.7と、調整度合いが大きくなっています。
東京都大田区、世田谷区と神奈川県川崎市、相模原市の詳細を見ると、1.0以外の調整率が設定されている地域は限定されています。最も影響度合いが大きい調整率は0.80ですが、路線価の高い地域での20%減額は、財産の評価額に与える影響が大きくなりそうです。