国税庁は、ホームページに「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」を発表しました。令和5事務年度に実施した、相続税の調査の状況をまとめたものです。
相続税の実地調査は、資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告であると想定される事案等に対して実施されました。調査件数8,556件(前年比+4.4%)のうち、申告漏れ等があった件数は7,200件(同比+2.3%)で、84.2%の高い割合で申告との非違が生じています。
また、今回の相続税の調査結果では、無申告事案は690件(同比△2.1%)と件数は減少しましたが、追徴税額は123億円(同比+11.4%)と増加し、公表を始めた平成21事務年度以降で最高となりました。
出典:国税庁「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」
無申告事案に係る1件当たりの申告漏れ課税価格は1億899万円となり、相続税調査全体の約3.4倍と大変高い数字になっています。
一方、海外資産関連事案に係る調査については、実地調査件数が947件(同比+12.1%)、そのうち申告漏れ等があった件数は168件(同比△3.4%)となっています。申告漏れ課税価格は62億円(同比△11.1%)、1件当たりの申告漏れ課税価格は3,708万円(同比△7.9%)です。
出典:国税庁「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」
国税庁では、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などを効果的に活用し、海外取引や海外資産の保有状況の把握につとめているそうです。