海外デスクレポート

2018年8月30日

中国/制度トピックス/貸倒損失の損金算入について

中国/制度トピックス/貸倒損失の損金算入について

執筆:中国担当

中国に設立した現地法人において、長期間回収ができず焦げ付いてしまっている売掛債権があるという企業様は少なくないように思います。その売掛債権を貸倒損失として処理する場合に、中国における企業所得税法上、どうすれば損金算入できるのかといったご相談を頂く機会が増えてきております。ここでは、中国における売掛債権の損金算入処理を検討する際のフロー、損金算入の条件や必要資料をご紹介させていただきます。

▼検討フロー

* 専用項目申告(中国語表記:専項申報):発生した損失項目ごとに申告が必要とされる資産損失で、『貸倒損失(専項申報)税前控除申告書』、関連会計記録・エビデンス等の提出が必要となる申告方法です。

 

▼中国における売掛債権の損金算入の条件

財税[2009]57号『企業資産損失の損金算入政策に関する財政部及び国家税務総局の通知』第4条によると、次に掲げる条件のいずれかに適合する場合、回収可能金額を控除した後の回収可能性のない売掛債権については、貸倒損失として課税所得の計算上、損金算入することが可能です。

  1. 債務者が法に基づき破産を宣告し、閉鎖し、解散し、若しくは取り消され、又は法により営業許可が抹消され、若しくは取り消された場合において、その清算財産が弁済に不足するとき
  2.  債務者が死亡し、又は法により失踪若しくは死亡を宣告された場合において、その財産又は遺産が弁済に不足するとき
  3.  債務者が3年以上期限を徒過して弁済せず、かつ、既に債務を弁済する能力がない旨を証明する確実な証拠を有するとき
  4. 債務者と債務再編合意を達成し、又は法院が破産更生計画を認可した後に、債権を追求するすべのないとき
  5. 自然災害又は戦争等の不可抗力により回収するすべのなくなったとき
  6. 国務院の財政及び税務主管部門が定めるその他の条件

 

▼中国における売掛債権の損金処理の必要資料

国家税務総局公告2011年第25号『企業資産損失の損金算入にかかる管理弁法』(2018年6月15日国家税務総局公告2018年第31号により改正)によると、資産損失を損金算入するためには、以下の手続き・資料が必要とされています。

第5条 企業に発生した資産損失は、所定の手続き及び要求に従い主管税務機関に対し申告した後に限りこれを損金算入することができる。申告を経ていない損失は、これを損金算入としてはならない。
第10条 リスト申告方式(略)以外の資産損失については、専用項目申告の方式により税務機関に対し控除を申告しなければならない。企業はリスト申告により控除する資産損失に属するか否かを正確に判別するすべのない場合には、専用項目申告の形式を採用して控除を申告することができる。
第22条 企業の売掛及び前払金の貸倒損失は、次の関連する証拠資料によりこれを確認しなければならない。

  1. 関連事項に係る契約若しくは合意又は説明
  2. 債務者の破産清算に属する場合には、人民法院の破産及び清算公告を有しなければならない。
  3. 訴訟事件に属する場合には、人民法院の判決書若しくは裁決書若しくは仲裁機構の仲裁書又は法院により執行を終了(中止)する旨を裁定された法律文書を提出しなければならない。
  4. 債務者の営業停止に属する場合には、工商部門による営業許可証の抹消又は取消しに係る証明を有しなければならない。
  5. 債務者の死亡又は失踪に属する場合には債務者個人に対する公安機関等の関係部門の死亡又は失踪証明を有しなければならない。
  6. 債務再編に属する場合には、債務再編合意及びその債務者の再編収益に係る納税状況に係る説明を有しなければならない。
  7. 自然災害及び戦争等の不可効力に属し回収するすべのない場合には、債務者の被災状況に係る説明及び債権を放棄する旨の表明を有しなければならない。

実務上、必要資料が揃っていれば、納税者が税務機関に損金算入を申告することができます。しかし、後日税務調査で申告内容を精査され、損金算入の申告条件を満たさない損金処理が発見された場合には、その資産損失の損金算入を否認され、課税を命じられることになります。特に債権額が大きい貸倒損失については、所轄税務署・担当税務官に事前照会の上、損金処理を検討されることをお勧めします。

 

ご留意事項:

  1. 上記内容は2018年8月現在有効の規定を根拠としております。
  2. 損金算入の申告手続きや所要資料は所轄税務局や担当税務官の解釈によって異なる可能性がありますので、手続きを実際される前に必ず確認されることをお勧めします。

※上記の内容は、掲載日時点のものとなります。最新情報は弊社にお問い合わせください。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 大井 高志

    この記事の著者

    大井 高志
    税理士法人山田&パートナーズ  海外事業部 パートナー
    亜瑪達商務諮詢(上海)有限公司 総経理
    税理士・公認不正検査士

    2013年山田&パートナーズ入所。大手金融機関への出向後、2016年より上海へ赴任。中国系会計事務所への出向を経て2019年より現職。中国・香港・台湾における組織再編、進出・撤退支援、M&A関連業務、コーポレートガバナンス、不正調査対応、内部統制支援等のコンサルティング業務に従事。

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