海外デスクレポート

2023年2月6日

電子営業許可証の促進と留意点 (中国)

電子営業許可証の促進と留意点 (中国)

1. 営業許可証とは

中国国内企業は会社設立の際に工商局より営業許可証を取得する必要があります。営業許可証とは日本でいうところの謄本に相当するもので、企業の存在、登記情報を証明するものです。ただし、日本の謄本とは異なり、正本・副本それぞれ1部ずつのみ発行され、複数部数を発行することはできません。企業の行政手続きから銀行、不動産賃貸・売買、ビザ関連等々、企業が関する手続きにおいて必ず必要とされる証明書で、各種手続きにおいて窓口でコピーを提出し、原本の提示を求められます。

営業許可証の記載事項は以下の通りです。下記の記載事項に変更がある場合には営業許可証も再発行が必要です。

  • 会社名所
  • 類型
  • 経営範囲
  • 住所
  • 登録資本
  • 設立年月日
  • 経営期限
  • 法定代表者氏名
  • 統一社会信用番号(法人番号、納税人番号、社会保険番号を統一した番号)
  • 営業許可証発行年月日

2. 電子営業許可証の推進と留意点

営業許可証はこれまで紙ベースで発行されていましたが、現在では電子データである「電子営業許可証」の取得を推進されています。電子営業許可証は、各当局、機関の手続きの効率化及び紙ベースの営業許可証の偽装を防ぐことも目的とされています。電子営業許可証を利用する場合、携帯やパソコンでダウンロードし各種手続きが可能です。携帯であればWECHAT、支付宝のAPPで利用することができます。法人より権利を受けた者が利用することができ、かつ同時に複数の者が利用することができます。

最近では行政手続きを行う場合には電子営業許可証を取得することを要求され、電子営業許可証を取得していない場合には手続きができない状況も生じています。2022年2月には国務院より電子営業許可証推奨の通知も発表されており、各企業は速やかに手続きを進める必要があります。

電子営業許可証の申請自体は申請書を提出することで手続きが可能になるものですが、電子営業許可証の電子データダウンロードにあたっては、法定代表者の実名認証が必要です。具体的な手続きは各当局によって異なりますが、法定代表者が外国籍である場合、原則として法定代表者本人が窓口でパスポート原本を提示することで実名認証を行うため、 コロナ渦中で代表者が渡航を控えている場合には、入国隔離期間を踏まえて渡航スケジュールをを検討しなければならないことから注意が必要です。

参考:中華人民共和国市場主体登記管理条例
中华人民共和国市场主体登记管理条例(国令第746号)_政府信息公开专栏 (www.gov.cn)
中华人民共和国市场主体登记管理条例实施细则_法律法规_新疆维吾尔自治区市场监督管理局 (xjaic.gov.cn)

大井 高志

税理士法人山田&パートナーズ
海外事業部 パートナー 公認不正検査士
亜瑪達商務諮詢(上海)有限公司 総経理

中国・香港・台湾における組織再編、進出・撤退支援、M&A関連業務、コーポレートガバナンス、不正調査対応等のコンサルティング業務に従事。

  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
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