執筆:インドネシア担当
インドネシアでは2016年12月30日に、移転価格税制に関する新規定である、財務大臣規則2016年第213号(No.213/PMK.03/2016、以下PMK213) を公布、施行しました。
< 新規則施行の背景 >
OECDで取りまとめられた、税務浸食と利益移転(BEPS: Base Erosion and Profit Shifting)についての行動計画13「多国籍企業の企業情報の文書化」(2015年10月公表)への適応を意図して、PMK213は施行されました。
< 新規則における文書の種類 >
PMK213は、以下の3種類の文書について規定しています。
1. マスターファイル (以下MF)
企業グループ全体に関連する以下の情報を含む必要があります。
- グループ企業間の資本関係(所在国の情報を含む)
- グループ内の企業ごとの事業内容
- グループが保有する無形資産
- グループの財務活動
- 最上位の親会社における連結財務情報
2. ローカルファイル(以下LF)
インドネシア納税者である現地法人が行う関連者取引に関する以下の情報を含む必要があります。
- インドネシア現地法人の企業情報及び事業内容
- 関連会社の情報及び関連者取引に関する情報
- 関連者取引における独立企業の原則(Arm’s Length Principle)の適用に関する情報
- インドネシア現地法人の財務情報
- インドネシア現地法人の収益性に影響を与える非財務情報
3. 国別レポート(以下CbCR)
以下の情報について、グループ内の企業ごとに記載が求められます。
- 所在国
- 企業名
- 事業内容
- 売上総額(独立企業間取引と関連者間取引に区分して)
- 税引前損益
- 納付済法人税額
- 未払法人税額
- 資本金
- 利益剰余金
- 正社員数
- 現金及び現金同等物以外の有形資産の金額
< 各文書の作成要否の判断基準 >
インドネシアの現地法人において各文書の作成が必要か否かについては、以下の条件に従い判断することになります。
< 作成・提出期日 >
- MF及びLFについては、事業年度末から4か月以内に作成し、利用できる状況にする必要があります。4か月後の段階でMF及びLFそのものを税務署への提出までは義務付けられていませんが、作成を行った旨の宣誓書を税務署へ提出する必要があるとされています。また、税務調査の際などにおいて、税務署が文書の提出を求めた場合には提出する必要があります。
- CbCRについては、翌年の年度法人税申告書に添付して提出する必要があるとされています。例えば12月決算の会社の場合、2016年度のCbCRは、2017年度の法人税申告期限である2018年4月末までに作成、提出する必要がある、ということになります。
< その他 >
- 対応言語については、原則インドネシア語による必要があるとされており、別の言語で作成が認められた場合でも、インドネシア語の翻訳を準備する必要があるとされています。
- 要求される文書の作成・提出を行わない場合の罰則については明確ではありません。ただし、文書の作成がなされていない場合、税務当局は納税者が関連者取引について独立企業の原則に従って価格の決定がなされていないと見做される可能性があります。
- 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
- 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
- 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。