海外デスクレポート
2014年6月30日
フィリピンの投資環境情報
執筆:フィリピン担当
親日的でホスピタリティ溢れる国民性や、今後数十年続くと言われている人口ボーナス、充実した投資優遇政策など、フィリピンには投資環境としての魅力が多数あります。また、外資規制は一部の業種を除き、基本的に低く進出しやすくなっています。
基礎情報
基礎情報
フィリピンの人口は約1億人、アセアン第2位です。日本からフィリピンへの移動は約4時間半。フィリピンから全ての東南アジアへ約4時間半以内で行くことが出来る唯一の国でもあり、アジアの中心と言えます。
【人口】
フィリピン人口委員会は2014年7月27日に人口が1億人に達したと発表しました。アセアンで第2位の人口です。綺麗なピラミッド型をしており、豊富な労働力で高度な経済成長が可能な人口ボーナス期が、今後数十年続くと言われております。また、3.1人と高い出生率は、消費者市場としての魅力も高めつつあります。
【面積】
日本の約8割(299,404平方キロメートル)で、7,109の島々があります。マニラ首都圏を含むルソン地方、セブを中心とするビサヤ地方、ダバオを中心とするミンダナオ地方として、大きく3つの地域に分けられます。日本からフィリピンへは約4時間半、日本との時差は1時間です。フィリピンは全ての東南アジアへ約4時間半以内で行くことが出来る唯一の国であり、アジアの中心でもあります。
【首都】
マニラ首都圏で、メトロマニラとも呼ばれております。人口は約1,200万で、東京都の人口と同じ位です。
【気候】
一年を通して気温と湿度が高い、熱帯海洋性気候です。雨期6~11月と乾期12~5月の二つの季節があります。3~5月が最も暑くなり、真夏には36℃前後に達する日も多くなります。年間平均気温は27℃前後です。
【民族】
民族は、マレー系が主であり、その他、中国系、スペイン系、混血と少数民族がいます。
【言語】
フィリピノ語と英語が公用語であり、その他80前後の言語があります。公用語として広く英語が使われており、英語能力の高い人材の豊富さは、フィリピンの魅力としても高く評価されております。
【宗教】
国民の83%がカトリック、その他のキリスト教が10%、イスラム教は5%で、ASEAN唯一のキリスト教国です。毎週日曜日に教会に行くという敬虔なカトリック教徒が非常に多いです。
【国民性】
とても親日的で、ホスピタリティ溢れ、明るく陽気な国民性です。平和的・友好的でもあり、労働争議等も極めて少ないといわれております。
【GDP成長率】
2013年は7.2%と高いGDP成長率を達成しました。フィリピンのGDP内訳の7割強は民間消費であり、この内需を支える大きな要因となっているのが、OFW(Overseas Filipino Workers)と呼ばれるフィリピン人海外労働者からの国内送金です。堪能な英語能力を活かし、海外に就労機会を求めるOFWが多数存在します。メイド、看護士、船員、エンジニアなど多様な職種についており、彼らが海外で稼いだ所得の国内送金額は、GDPの約1割に達するほどの巨額となっております。この高いGDP成長率は今後も続くと予想されております。
【投資優遇措置】
法人税免除期間、特別優遇法人税率5%、付加価値税(VAT)の免除、輸出税等の免除など、充実した投資優遇措置や経済特区が整備されております。
進出動向
特に近年、輸出型製造業による大型の新規投資が相次ぎました。チャイナ・プラスワンなどによる、製造拠点の分散化による動きです。これにより、フィリピンの魅力が改めて注目されました。
フィリピンの日系企業数は2013年10月時点において1,260社で、年々増加傾向にあります。特に2011年から、輸出型製造業による大型の新規投資が相次ぎました。これは、中国における人件費の高騰や労働力不足による製造拠点の一極化回避、いわゆるチャイナ・プラスワンや、他のアセアン諸国における人件費高騰、労働力不足、洪水被害などの混乱による、製造拠点の分散化による動きと考えられます。
製造業企業の多くは、フィリピン経済特別区庁(PEZA)の許可を受けた工業団地に入居しています。PEZA登録企業は、法人税免除期間、5%の特別優遇法人税率、付加価値税(VAT)免除、輸出税等の免除などの充実した投資優遇措置が受けられます。これらの工業団地は、水道・電気等のインフラはもちろんのこと、役所や銀行の支店、住居やホテルが完備されているところもあり、また、PEZAでは汚職は皆無と言われており、透明性の高い運営が行われています。
近年では、消費者市場としての注目も集めており、自動車などの耐久消費財、食品や衣料品などの消費財、飲食店やコンビニエンスストアなどの小売業でも日系企業の進出が相次いでいます。消費者市場として注目を集める理由として、高いGDP成長率、アセアン第2位の人口と持続的な出生率の高さによる消費者市場の拡大が挙げられます。また、国民一人当たりGDPは、2013年で2,790ドル、2014年から2015年にかけて3,000ドルに達すると予測されております。国民一人当当たりGDPが3,000ドルを超えると、生活に最低限必要な衣食住が足りるようになり、耐久消費財などの普及が進むとされており、消費者市場の拡大余地が大きいと期待されています。
さらに、高い英語能力を背景に、英語圏向けのコールセンターやバックオフィス業務などのBPO(Business Process Outsourcing)産業やIT産業の雇用が著しく伸びており、全就労人口に占めるサービス業の比率はここ数年50%超となっています。日系企業においても、特にソフトウェア開発などのIT産業への進出が増加してきています。BPOやIT産業の拡大は、中間所得層の拡大にも貢献しつつあります。
外資規制/投資促進
外資規制
フィリピンでは外国資本を奨励しており、基本的には外資100%にて会社設立が可能です。投資規制のある一部の業種に関しては、ネガティブリストに記載されています。例えば、払込資本250万米ドル未満の小売業は外国投資が禁止されています。
最低資本金は、外資40%超の企業は、国内市場向け企業の場合:原則20万米ドル、輸出市場向け企業の場合:5千ペソ(約12千円)です。
最低資本金
※第9次ネガティブリスト(大統領令98号2012年10月29日署名)
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投資優遇政策
代表的な投資優遇措置であるPEZA登録等により、法人税免除期間、5%の特別優遇法人税率、VAT(付加価値税)免除、輸出税等の免除などの充実したインセンティブを享受できます。
フィリピンでは充実した投資優遇措置が提供されており、フィリピン投資の大きな魅力の一つとなっています。代表的な投資優遇措置としてPEZA(フィリピン経済特区庁)登録があります。PEZAの許可を受けた工業団地/ビルに入居し、PEZA登録すると様々なインセンティブが享受できます。
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