1. シンガポールにおける実質経済(GDP)成長率
2022年(通年)の実質GDP成長率は以下の表のとおりとなっており、産業別では、建設業が6.5%、サービス業が5.0%、製造業が2.6%等となっています。
首相は2023年の経済見通しについて、継続しているロシア/ウクライナ紛争や米中間の緊張、中国の新型コロナウイルス感染症からの回復などの国際的な見通しが依然として不透明であり、シンガポール経済が上記のような外部環境に影響を受けることを想定し、不確実性へ備えておくべき旨を発表しています。
シンガポールの実質GDP成長率(対前年比)
2019年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
1.3% |
▲5.4% |
7.6% |
3.8% |
※2022年の数値は速報値
2. GST(Goods and Services Tax)の税率引き上げ
2023年1月より、日本の消費税に相当するシンガポールのGST(Goods and Services Tax)の税率が7%から8%に引き上げられました(2022年の税制改正の発表どおり)。
なお、2024年1月より8%から9%へ引き上げられる予定です。
3. シンガポールにおける不動産市況(引き続き上昇傾向)
(1) 近年の概況
シンガポールでは2015年頃に経済が後退局面に入り、一旦、住宅賃料は下落しました。その後、好調な景気動向や株価に支えられ不動産価格は上昇しました。
2019年後半から2020年初頭にかけては、香港の政治的動向の影響も受け、シンガポールの不動産価格/賃料ともに上昇しました。
Covid-19が流行し始めた2020年第一四半期には不動産価格/賃料ともに一旦は下落し、Covid-19流行に伴う世界的な経済活動の停滞により、不動産価格/賃料も継続して下落する予想があったものの、実際には1%程度の下落に留まり、その後、上昇に転じています。
2023年1月現在もCovid-19の流行直前と比して、不動産価格は上昇を続けています。
(2) 賃貸住宅市場
住宅賃料の上昇には、新規物件の供給不足(現在、建築または建替中の物件も多い)による外国人への賃貸用物件数の減少、香港に駐在している外国人/在住富裕層のシンガポールへの拠点変更、渡航規制緩和による外国人駐在員の(再)増加など、複合的な要素が背景にあるとされ、特定のエリアだけでなくシンガポール国内全域に影響を及ぼしています。
一方、日系企業各社の住宅予算はここ10年ほどあまり上昇しておらず、従来、日本人駐在員の住居地となっていた中心部では、住宅予算に合う物件が少なくなってきており、古い住宅や郊外の住宅を選択せざるを得ない状況になってきています。
このような背景の中、2021年、2022年に引き続きシンガポールにおける2023年のGDP予想成長率の中で建設業は他の産業よりも高い成長率が予想されていますが、資材の高騰や建設作業員の不足等の課題も出てきています。
(3) オフィス市場
2022年4月以降、出社人数の制限が解除される中、一部の企業は社員に柔軟なワーキングスペースの提供を模索し、ハイブリッドワーク(従来型オフィスワークとデジタルトランスフォーメーションの両方の利用)を導入する動きが増えており、その需要を見込んで国内のコワーキングスペースの需要は増加しています。
その一方で、オフィスを含めた不動産全体の賃料は上昇傾向にあり、各企業はオフィス面積を縮小する動きも高まっています。固定費用削減の目的で、様々なDXを導入する中でも、ますますハイブリットワークを採用する企業が増えていくと予想されています。
- 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
- 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
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