海外デスクレポート

2023年2月28日

シンガポール2023年の税制改正案の公表 (シンガポール)

シンガポール2023年の税制改正案の公表 (シンガポール)

2月14日(火)にシンガポールの2023年度の予算案(Budget)が公表されました。
近年、主に個人分野では所得税率及びGST税率の引き上げを行ってきましたが、2023年税制改正において、不動産市価の高騰及び高止まりの影響等を受けた不動産取引における印紙税率の引き上げや自動車取得に伴う追加登録税の引き上げが盛り込まれました。
また、法人分野では、2025年から多国籍企業へのグローバル・ミニマム課税を導入する方針等を明らかにしています。
2023年税制改正項目のうち、特に注目を受けている改正項目は下記のとおりです。

1. 印紙税率の引き上げ

不動産取引時における印紙税の税率は、その不動産が居住用不動産か非居住用不動産かの区分に応じて異なります。

◾️居住用

不動産価額(SGD) 改正前 改正後
最初の 180,000 1% 1%
次の 180,000 〜 360,000 2% 2%
次の 360,000 〜 1,000,000 3% 3%
次の 1,000,000 〜 1,500,000 4% 4%
次の 1,500,000 〜 3,000,000 5%
3,000,000 超 6%

◾️非居住用

不動産価額(SGD) 改正前 改正後
最初の 180,000 1% 1%
次の 180,000 〜 360,000 2% 2%
次の 360,000 〜 1,000,000 3% 3%
次の 1,000,000 〜 1,500,000 4%
次の 1,500,000 〜 3,000,000 5%
3,000,000 超

※ 本改正は、2023年2月15日以降に取引されるすべての不動産に適用

2. 自動車の追加登録税率(Additional Registration Fee/ARF)の引き上げ

自動車のARFの税率は、その車両の時価に応じて異なります。

◾️改正前

時価(SGD) レート
最初の 20,000 100%
次の 20,000 〜 50,000 140%
次の 50,000 〜 80,000 180%
80,000 超 220%

◾️改正後

時価(SGD) レート
最初の 20,000 100%
次の 20,000 〜 40,000 140%
次の 40,000 〜 60,000 190%
次の 60,000 〜 80,000 250%
80,000 超 320%

※ 本改正は、2023年2月の第2回入札以降に取得したCOEで登録された車両が対象

3. グローバル・ミニマム課税の導入(2025年)

BEPS 2.0の第2の柱のグローバル・ミニマム課税(最低税率課税)を2025年から導入する方針を明らかにしました(トップアップ税の導入)。
ただし、グローバル・ミニマム課税導入に関する各国の動きを引き続き注視し、各国の導入が遅れるようであれば、シンガポールの導入時期も調整する旨もアナウンスされています。
なお、2021年7月、シンガポールに拠点を置く多国籍企業のうち、グローバル・ミニマム課税の対象となる多国籍企業が約1,800社で、この多くの実効税率が15%を下回ると指摘されていました。

4. エンタープライズ・イノベーション・スキームの導入

シンガポール国内でのイノベーション活動を強化するため、新たに「エンタープライズ・イノベーション・スキーム」が導入されます。
本スキームにおいて、(1)国内でのR&D活動、(2)特許等のIPの登記、(3)IP取得等、ライセンシング、(4)政府認定コースでの技術研修、(5)高等専門学校(Polytechnics)と技術専門学校(ITE)との共同革新プロジェクトという5分野のそれぞれに関わる2024~2028年度までの各年度の支出について、上限額の範囲内で最大400%の税額控除が認められます。

5. ファミリーオフィスに対する慈善事業に係る税制優遇制度の導入

MASの承認を得たファミリーオフィススキーム(13O/13U)に基づくファンド(資産保有会社)を運営する、ファミリーオフィス(資産運用会社)に対して、慈善事業への寄付金を対象とする税制優遇制度が導入されます。
一定の条件を満たした現地の仲介業者を通じて行った寄付について、100%の税額控除を申請することができます(控除額は法定所得の40%を上限)。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 入江 貴陽

    この記事の著者

    入江 貴陽
    税理士法人山田&パートナーズ
    シニアマネージャー 税理士

    2013年入社。日本国内にて税務顧問、事業承継及びM&A関連業務を中心に関与し、2020年よりシンガポール駐在。シンガポールへの進出案件、組織再編業務、移住支援業務等に従事。

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