2023年3月15日よりGIPの要件が以下のとおり改正されました。
特に投資要件における投資金額が大きな改正点になります。ファミリーオフィスを設立しGIPを取得予定であった方にとっては大きな影響があると考えられます。
GIPとは、外国人投資家等によるシンガポールへの投資促進等を目的とした制度で、EDBが規定する所定の要件等を満たすことにより、当該投資家等がシンガポールの永住権を取得することを可能とする制度です。なお、GIPは取得後5年(状況により3年)ごとの更新制です。
*EDB : Economic Development Board
1. 対象となる申請者(申請者要件)
申請者の種類により4つのカテゴリーにわけられ、それぞれ要件が異なります。
(1) Established Business Owners(既存ビジネスオーナー)
- 起業、会社経営で3年間の実績を有すること。
- 総売上が2億SGD(約200億円)以上であること(申請前年及び申請前3年間の平均の数値)。
- 未上場会社の経営者の場合、株式の30%以上を有していること。
- 一定の業種に該当すること(消費者向ビジネス、医療等)。
(2) Next Generation Business Owners(次世代ビジネスオーナー)
- 未上場会社の場合、対象者の親族が株式の30%以上を有していること。
- 総売上が5億SGD(約500億円)以上であること(申請前年及び申請前3年間の平均の数値)。
- 対象者が役員等であること。
- 一定の業種に該当すること(消費者向ビジネス、医療等)。
(3) Founders of Fast Growth Companies(成長企業のファウンダー)
- 対象者が時価総額5億SGD(約500億円)以上の創設者であり、かつ、大株主であること。
- 一定のファンド等から出資を受けていること。
- 一定の業種に該当すること(消費者向ビジネス、医療等)。
(4) Family Office Principals(ファミリーオフィスの代表者)
- 5年以上の経営経験、投資経験等を有すること。
- 2億SGD(約200億円)以上の投資可能資産(金融資産)を有していること。
2. 投資要件
上記(1)の申請者カテゴリー別の申請者要件を満たした場合、下記のいずれかのオプションを選択し、所定の要件を満たす必要があります。ただし、ファミリーオフィス代表者(申請者要件4)の場合はオプションCのみが選択可能です。
(1) オプションA
- 新会社または既存企業の事業拡大に1,000万SGD(約10億円)以上投資すること。
- 詳細な5ヵ年事業計画書(投資計画書)の提出(従業員数、年間業績見通し等)。
- 実行可能性、当該会社内での役割、事業活動、雇用の創出等の観点から審査される。
(2) オプションB
- シンガポール所在の企業に投資する所定のGIP select fundに2,500万SGD(約25億円)以上投資すること。
- 事業(投資)計画書等の提出を要求される可能性がある。
(3) オプションC
- シンガポールを拠点とする運用資産額が2億SGD(約200億円)以上のシングルファミリーオフィスを設立し、5,000万SGD(約50億円)以上を所定のシンガポール国内投資*に充当すること。
*例:SGX上場有価証券やシンガポール金融庁(MAS)が指定する適格債券等
- 従業員数、年間業績見通しを記した詳細な5ヵ年事業計画書の提出。
- 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
- 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
- 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。