1. フィリピンにおける財務大臣の交代
今年6月5日に、遠藤大使が着任挨拶のため、今年1月に就任したラルフ・レクト新財務大臣への表敬訪問が行われました。
日系企業をはじめとする外資企業は、ラルフ・レクト新財務大臣が目下の懸案事項となっているVATの還付の問題に対し、何らか解決をしてくれるのでは、と期待されています。
今年1月12日に宣誓を行った際、ラルフ・レクト新財務大臣は、一番大事なのは次年度に向けての徴税とし、来年度の税収の目途は4兆3千億ペソ(約11兆4千億円)、その内、歳入庁で3兆ペソ、関税局で1兆ペソ、国庫で3千億ペソと発言し、また、大統領が主導するフィリピン国家開発計画から2兆7千億ペソを調達する旨も言及されました。
モデレーターからラルフ・レクト新財務大臣に対し、新たな徴税策について質問したところ、ラルフ・レクト新財務大臣は、新たな徴税の導入については、否定されました。
また、今年1月24日の記者会見では、高止まりしたインフレが喫緊の課題として、新しい税制度を導入することはしない旨、再度表明されました。
前財務大臣が進めていた砂糖を多く含む飲料への課税やスナック菓子への課税については、支持をしない旨も明らかにし、まずはきっちりと納税を行い、効率性を高めていくことが第一歩、としました。また、税率を引き上げていくことは、インフレ誘導に繋がることから現時点においては税率の見直しの時期としては相応しくなく、政府に対しても安易に税率引き上げや新税導入を行うべきではない旨を提言していく姿勢を見せました。
2. フィリピンにおけるVAT(Value Added Tax)の還付について
VATの還付について、ラルフ・レクト新財務大臣からの明言はありませんが、日本の企業が同氏に期待を寄せているのは、同氏が日本とフィリピンと経済活動の橋渡しを担ってきた立役者であることもその背景にあるのではないかと推測されています。
今年の5月には、VATの還付手続きについて、所管を内国歳入庁(BIR)から財務省に移す法案も提出されました。
日系企業をはじめとする外資系企業においては、VATの還付を受けるまでに多大な期間と労力がかかることを理由に、還付手続きを諦める企業が多いのが実情ですが、引き続き、VATの還付の手続きについて、何らかの改善が期待されている状況です。
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