2023年12月28日、カンボジアの労働職能訓練省は、外国人の労働許可証のガイドラインに関する通達110/23を発布し、労働許可を必要とする外国人向けの手続きと条件を明確にし、雇用カードと労働許可を規定した労働法省令を遵守するように喚起しました。外国人で労働許可証が必要となる対象が、以下、明確になりました。
① 当該企業の事業登録税証書(通称パテント*)に名前が記載された外国人雇用主
②当該企業の事業登録税証書(通称パテント*)に記載された外国人被雇用者 、ないしは、自営の場合。なお②の場合は、雇用カードも追加で必要となります。
労働許可を申請する際には、労働職能訓練省の公式ホームページを通じて申請を挙げる必要がありますが、以下の書類が必要となります。
- パスポートの原本
- 最新の法人の事業登録税証書ないしは個人事業主登録証
- 健康診断書
- 写真
また、労働許可証や雇用契約を有していない外国人を雇用した場合、工場・企業・事業所の雇用主ないしは取締役向け罰則を定めたガイドライン517の規定により、労働許可証を有していない外国人の数に応じて、KHR12,600,000(約50 万円)~KHR63,000,000(約230万円) の罰金が科されます。
労働許可証が不要となる外国人のケースも、明確になりました。
- 当該企業の会社の定款に記載されている取締役、ないしは株主の場合で、且つカンボジアで居住ビザを持っていない場合
この通達が日系を含めた外資系企業に向けたメッセージは何でしょうか?それは、カンボジアに常駐していなくても出張に行かなくても、事業登録税証書パテントに名前があればそれは労働許可が必要、ということです。ここで留意すべきは、文字通り非常勤で常駐していない取締役のケースです。現地に滞在するVISAをもっておらず、現地で業務遂行を行わないステータスの取締役は、労働許可は 不要と早合点しがちです。会社法で定める取締役が常駐しないからといって労働許可が全量不要とはならないのです。管轄する税務局が発行する事業登録税証書に名前の記載があれば、その方が常駐しなくても業務遂行に関与していなくても、労働許可が必要となります。また、事業登録税証書パテントは、事業区分ごとに納付されますので、複数あるケースが相応にあることにも留意です。 滞在もしておらず労働も行っていないのに事業登録税証書に名前があるケースは実態としてはあると推量しますので専門家にも相談されることをお勧めします。
*事業区分毎、立地場所毎に、売上規模に応じて支払う事業登録税。法人設立時、及び年度で納付。納税後、パテント支払い証明書が発行されます。特許のパテントではありません。
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