海外デスクレポート

2024年6月26日

ラオス中央銀行による外国直接投資(FDI)における外貨管理に関する合意 (ラオス)

ラオス中央銀行による外国直接投資(FDI)における外貨管理に関する合意 (ラオス)

2023年12月、ラオス中央銀行は、外国直接投資における外国為替取引の外貨管理に関する合意第1225号を発布しました。これは、2019年5月のラオス国への資本持ち込みやラオス国からの資本持ち出し、海外からの借入・貸付、信用取引に関する布告の一部が変更されたものです。

 

第1225号では、外国からの直接投資を以下のとおり定義しています。外国からの直接投資とは、外国人がラオス国内で事業を行うための投資、独資、ないしは、公的な団体や国営企業やラオス国の民間企業との協働によって外国人が10%以上の株式を保有する合弁会社の場合の出資のことをいいます。従来、ラオスにおいての外資の定義に関しては、会社法では明確ではありませんでした。2012年5月の商工省合意第891号によれば、内資企業とは50%以上ラオス国籍者が資本を有する場合、外資企業とは外国で登記された企業、または51%以上外国企業が資本を有するラオス国で登記された企業とされていました。2017年4月、ラオスの投資奨励法が改正されていますが、外国直接投資の定義づけは行われませんでした。第1225号によって、中央銀行の外国為替の観点からは、外国人の資本参入10%以上の場合が、外国からの直接投資に該当することが明確化されたこととなります。

 

第1225号では、外国人による投資について、ラオス国内の商業銀行にて投資準備口座を開設することを規定しています。

 

これまで、ラオス国内の商業銀行で口座を開設するには、投資ライセンス許可証や企業登録証の提出が求められていました。一方で、会社の設立前には、出張費用・宿泊代金・オフィスのレンタル料・車両費・申請用の印紙代金・コンサルティング料金など様々な初期費用が発生し、投資家からは企業登録証の提出無くとも銀行口座を作って欲しいという要請がありました。第1225号では、投資ライセンス許可証や企業登録証の代わりに、投資許可ないしは企業登録手続き中であることが分かる関連当局からの証拠書類をもって、商業銀行で銀行口座の開設を行うことが可能とされています。企業登録前の初期費用の支払いに使用できる口座が「投資準備用口座」として新たに開設が可能となりました。

 

もう一つの口座は「投資に関する口座」です。外国人投資家が、投資ライセンス許可証や企業登録証発行後、銀行口座を開設する場合、その許可証や登録証を受け取った日から15営業日以内に口座を開設する必要があります。「投資に関する口座」でのみ、登録資本金の送金が可能となります。

 

また、従来、一般口座を利用していた外国人投資家は、資本に関する取引を行う場合は、その一般口座を閉鎖し新ルールで定められた「投資に関する口座」を新たに開設する、ないしは手預金口座の種類を「投資に関する口座」に変更する必要があります。既に現地法人がラオスの商業銀行に口座を保有し、資本に関する取引に該当する増資、配当の支払い、減資、借入金の利息の支払い、などの取引を行う場合、新ルールが適用され、「投資に関する口座」を利用することになります。貿易以外の取引では、外国からの入金、外国への送金については、事前に口座を保有している商業銀行への相談が肝要となります。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 額田 正憲

    この記事の著者

    額田 正憲
    税理士法人山田&パートナーズ
    業務推進部 部長

    1992年大手都市銀行に入行以来、タイ15年半、フィリピン2年勤務、東京でのアドバイザリー業務5年をもってアジア・オセアニアでのビジネス環境の改善に従事。2024年税理士法人山田&パートナーズ入所。各地域での経営環境・税務課題の解決に向けた支援に取り組む。

海外デスクレポートに戻る
すべて見る

CONTACT US

弊社へのご質問、ご依頼、ご相談など
各種お問い合わせはこちらにご連絡ください。

お問い合わせはこちら