海外デスクレポート

2023年11月17日

アメリカに住む家族へのサポートについて (米国)

アメリカに住む家族へのサポートについて (米国)

1. はじめに

アメリカに住む家族に不動産を買ってあげたい、ビジネスにお金を出してあげたい等、日本に住む両親からアメリカの家族をサポートしたいというご相談が多くあります。

このような経済的な援助をするためには、日本とアメリカ双方の税制を検討する必要があります。今回は日本の両親から米国の家族に経済的な援助をする場合の留意点を金銭と不動産の2つの観点から解説します。

 

2. 日本からアメリカに金銭贈与をする場合

① 日本(贈与税)

日本に住む両親からの贈与は、財産をもらう側の方がどこに住んでいても日本の贈与税の課税対象となる場合があります。資金援助が扶養義務者から生活費や教育費を目的として通常必要と認められる範囲であれば贈与税はかかりませんが、ビジネスのためや不動産の購入のため等であれば贈与税の対象となります。

 

② 米国(贈与税・情報開示)

日本に住む両親から日本の銀行口座から海外送金により金銭を贈与場合には、アメリカの贈与税の課税対象とはなりません。一方で、財産をもらう米国居住のご家族は、その金額が$100,000を超える場合には財産を受け取ったことを米国税務当局(IRS)に報告する義務があります。

 

3. すでに保有しているアメリカ不動産を子供に贈与する場合

① 日本(贈与税)

上記と同様に日本の贈与税を検討する必要があります。アメリカで贈与税の納税が生じる場合には二重課税を排除するため、外国税額控除制度を利用する必要があります。

 

② 米国(贈与税・情報開示)

日本に住む両親から米国不動産を贈与する場合には、アメリカの贈与税の課税対象となります。また州によっては別途州税を設けている場合や、固定資産税の引き上げが行われる場合もあり注意が必要です。併せて、財産をもらう米国居住のご家族は、その金額が$100,000を超える場合には財産を受け取ったことを米国税務当局(IRS)に報告する義務があります。

 

4. おわりに

アメリカに住むご家族に経済的な援助を検討される場合には、日本とアメリカそれぞれの税制を考える必要があります。特にアメリカではペナルティが重い義務が生じる場合があります。ご家族が安心してアメリカで過ごせるようにするため、サポートをする際には専門家に相談されることをお勧めいたします。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 遠藤 元基

    この記事の著者

    遠藤 元基
    Yamada & Partners USA, Inc.
    パートナー 日本税理士・公認不正検査士

    2007年税理士法人山田&パートナーズ東京本部入所、2011年福岡事務所開設・同所長就任。2019年よりベトナム及びタイに駐在。2023年より米国駐在。エステートプランニング、クロスボーダーM&A、グローバル組織再編、海外子会社不正調査など幅広い業務に対応。

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