海外デスクレポート

2024年7月29日

米国における個人の所得税及び遺産税の申告期限について (米国)

米国における個人の所得税及び遺産税の申告期限について (米国)

1. 所得税の申告期限

申告義務のある個人が暦年課税年度を採用する場合の申告期限は、原則としてその年の翌年の415日です。申告納税額の納付期限も同様にその年の翌年の415日までです。納付期限が土日祝日の場合は、翌営業日が納付期限となります。なお、申告義務のある個人が死亡した場合の申告期限も死亡した日の属する年の翌年の415日です。11日から死亡日までの所得を計算して申告します。

 

2. 申告期限の延長制度

延長に関する申請書(Form4868)を申告期限までに提出することで自動的に申告書の提出期限を6ヶ月延長することができます。暦年課税年度を採用している場合には、415日までに提出します。ただし、延長の適用を受けた場合であっても納付期限は延長されません。納付期限までに申告納税額を納付していない場合には、未納税額に対して延滞納付に関する罰則金が課せられるため、申告納税額が発生することが見込まれる場合は、当初の申告期限までに納税額を見積もり納付しておく必要があります。

 

3. 申告期日に米国外に居住している米国市民及び米国居住者に関する申告期限の特例

申告期日に米国外に居住している米国市民及び米国居住者(米国永住権を有している外国人等)については、一定の場合を除き自動的に申告書の提出期限が2ヶ月延長されます。暦年課税制度を採用している場合は、延長後の申告期限は615日です。また、この場合においても通常の申告期限の延長を申請することは可能です。ただし、この場合の延長期間は4ヶ月までしか認められません。原則として通常の申告期限から6ヶ月を超えて延長することはできません。

 

4. 米国非居住外国人の申告期限の特例

米国非居住外国人は、原則として米国内源泉所得がある場合に限り申告が必要となります。申告書の提出期限は、自動的に2ヵ月延長されます。暦年課税制度を採用している場合は、延長後の申告期限は615日です。ただし、給与取得が米国内で源泉徴収の対象となっている米国非居住外国人については適用されません。申告期限を延長したい場合には、申告期限までに延長に関する申請書を提出する必要があるためご留意ください。

 

5. 米国贈与税及び遺産税の申告期限

米国贈与税は日本と同様に暦年を課税期間として計算します。申告期限は贈与のあった日の属する年の翌年415日です。申告期限の延長に関する制度があり6ヶ月延長することができます。個人所得税の申告期限が延長された場合には、自動的に贈与税の申告期限も延長されたことになります。ただし、その年に個人所得税を申告していない場合には、別途、申請書(Form8892)を提出する必要があります。
米国遺産税の申告期限は、被相続人の死亡の日から9カ月です。申告期限までに申告できない場合は申請書(Form4768)を提出して申告期限を延長することができます。この場合の延長期間は6ヶ月です。ただし、所得税同様、未納税額に対して延滞納付に関する罰則金が課せられることになるため、当初の申告期限までに納税額を見積もり納付しておく必要があります。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 山﨑 剛

    この記事の著者

    山﨑 剛
    税理士法人山田&パートナーズ
    税理士

    2019年、税理士法人山田&パートナーズに入所。国際部に配属。グローバル展開している上場企業、上場子会社といった法人の法人税申告業務、海外に資産を保有する個人の所得税及び相続税申告業務を中心に従事。2020年、大手金融機関に出向、法人オーナーを対象とした事業承継コンサルティングに従事。2024年、米国駐在。
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