海外デスクレポート

2023年3月2日

ベトナムの付加価値税 (ベトナム)

ベトナムの付加価値税 (ベトナム)

ベトナムでは財やサービスを提供する際に、日本の消費税に相当する「付加価値税(以下、VATという。)」が課されます。また事業者は売上により受け取った売上VATから仕入VATを控除してその差額を納税する『控除方式』と、課税対象となる価額に法令により定められた税率を乗じる『直接法』のいずれかにより申告及び納税をすることとなります。

一般的には控除方式が採用されていますが、仕入VATを控除するためには、全ての取引に対して一定の要件を満たさなければなりません。

【仕入VAT控除要件】
① 適正なインボイスの発行
② 銀行送金証明書(2,000万VND以上の取引の場合)の保管
③ 契約書、通関申告書(輸出取引の場合)の保管

売上VATから仕入VATを控除してもなお仕入VATが残っている場合には、原則として将来の売上VATと控除するものとして繰り越されます。なお、還付は例外的な措置で以下の要件を満たした場合にのみ、利用できます。また、還付される前に税務調査が行われ、厳しくチェックされるため還付手続きを行う場合には事前に十分な準備をしておくことが推奨されます。

【仕入VAT還付要件】
《新法人設立後で生産開始前》
① 生産開始前であること
② 設立から1年以上経過していること
③ 仕入VATの残高が3億VND以上であること
④ 資本金が適正に払い込まれていること

《輸出売上の発生時》
① ベトナム国内売上に係る売上VATと相殺後の仕入VATの残高が3億VND以上あること
② 還付申請金額が輸出売上高の10%以下であること

《会社清算等》
① 債権債務整理が完了し、いまだ控除されていない仕入VATあるいは過払いのVATがあること

上記時点のうち、特に新法人設立時のケースでは、生産開始前に還付申請をしなければならない点は要注意です。還付金の上限は定められていないこともあり特に初期投資が大きい場合は還付の有無が資金繰りにも影響を及ぼします。他にも法人設立の段階から事前にスケジューリングを行い、適正に要件を整えておくことに加え、経理体制の構築も税務調査への備えには重要といえます。

川越 太介

税理士法人山田&パートナーズ
海外事業部部長 税理士

2006年に大阪の税理士法人にて勤務。2017年に税理士法人山田&パートナーズに入所。 現在、ベトナムにおける税務・会計に関するサービスに従事している。 主な対応可能業務は会計税務顧問、進出支援、不正調査・内部統制、DD、VAL、移転価格コンサルティングなどである。

  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。

 

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