海外デスクレポート

2023年6月1日

公務員最低賃金の改定に伴う一般事業会社の社会保険料の増額 (ベトナム)

公務員最低賃金の改定に伴う一般事業会社の社会保険料の増額 (ベトナム)
ベトナムでベトナム人労働者を雇用した場合には、強制の社会保険制度に加入しなければなりません。この強制加入の社会保険が対象としている範囲は疾病、妊娠出産、労働災害、職業病、退職、遺族保険で、現在は雇用者の負担する料率は21.5%、労働者が負担する料率は10.5%です。
社会保険料の算定の基礎は、月給のうち基本給のみですが、失業保険を除き、公務員最低賃金の20倍相当額が上限となっています。
公務員最低賃金については、2019年7月から据え置かれていましたが、2022年11月の国会決議で、2023年7月1日より、現行の月額149万VND(約9千円)から+20.8%増の180万VND(約1.1万円)に引き上げられることになりました。
【基礎最低賃金の変遷】

効力年 基礎賃金 増額 増額率
2012年 1,050,000 220,000 26%
2013年 1,150,000 100,000 10%
2016年 1,210,000 60,000 5%
2017年 1,300,000 90,000 7%
2018年 1,390,000 90,000 7%
2019年 1,490,000 100,000 7%
2023年 1,800,000 310,000 21%

 

この公務員最低賃金の改定により、月給29,800,000VND(約17.5万円)以上のベトナム人を雇用している場合は2023年7月1日以降に対する最大で1人当たり1,330,000VND(約8千円)の社会保険料負担が増加することになるためご留意ください。
(計算例)

2023年6月までの上限額 
2023年7月以降の上限額
一人当たり影響額(最大)

29,800,000VND(約17.5万円。1,490,000VND×20)
36,000,000VND(約21.1万円。1,800,000VND×20)
1人当たり1,330,000VND(約8千円)
=(36,000,000-29,800,000)×21.5%

川越 太介

税理士法人山田&パートナーズ
海外事業部部長 税理士

2006年に大阪の税理士法人にて勤務。2017年に税理士法人山田&パートナーズに入所。 日本国内では相続、事業承継、組織再編やM&Aなどの業務に従事しており、現在、ベトナムにおける税務・会計サービスを提供している。 主な対応可能業務は会計税務顧問、進出支援、不正調査・内部統制、DD、VAL、移転価額サポートなどである。

  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
 
海外デスクレポートに戻る
すべて見る

CONTACT US

弊社へのご質問、ご依頼、ご相談など
各種お問い合わせはこちらにご連絡ください。

お問い合わせはこちら