ベトナムでベトナム人労働者を雇用した場合には、強制の社会保険制度に加入しなければなりません。この強制加入の社会保険が対象としている範囲は疾病、妊娠出産、労働災害、職業病、退職、遺族保険で、現在は雇用者の負担する料率は21.5%、労働者が負担する料率は10.5%です。
社会保険料の算定の基礎は、月給のうち基本給のみですが、失業保険を除き、公務員最低賃金の20倍相当額が上限となっています。
公務員最低賃金については、2019年7月から据え置かれていましたが、2022年11月の国会決議で、2023年7月1日より、現行の月額149万VND(約9千円)から+20.8%増の180万VND(約1.1万円)に引き上げられることになりました。
【基礎最低賃金の変遷】
効力年 |
基礎賃金 |
増額 |
増額率 |
2012年 |
1,050,000 |
220,000 |
26% |
2013年 |
1,150,000 |
100,000 |
10% |
2016年 |
1,210,000 |
60,000 |
5% |
2017年 |
1,300,000 |
90,000 |
7% |
2018年 |
1,390,000 |
90,000 |
7% |
2019年 |
1,490,000 |
100,000 |
7% |
2023年 |
1,800,000 |
310,000 |
21% |
この公務員最低賃金の改定により、月給29,800,000VND(約17.5万円)以上のベトナム人を雇用している場合は2023年7月1日以降に対する最大で1人当たり1,330,000VND(約8千円)の社会保険料負担が増加することになるためご留意ください。
(計算例)
2023年6月までの上限額
2023年7月以降の上限額
一人当たり影響額(最大)
29,800,000VND(約17.5万円。1,490,000VND×20)
36,000,000VND(約21.1万円。1,800,000VND×20)
1人当たり1,330,000VND(約8千円)
=(36,000,000-29,800,000)×21.5%
川越 太介
税理士法人山田&パートナーズ
海外事業部部長 税理士
2006年に大阪の税理士法人にて勤務。2017年に税理士法人山田&パートナーズに入所。 日本国内では相続、事業承継、組織再編やM&Aなどの業務に従事しており、現在、ベトナムにおける税務・会計サービスを提供している。 主な対応可能業務は会計税務顧問、進出支援、不正調査・内部統制、DD、VAL、移転価額サポートなどである。
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