海外デスクレポート

2023年11月30日

ベトナムの個人所得税(所得控除項目について) (ベトナム)

ベトナムの個人所得税(所得控除項目について) (ベトナム)

ベトナム所得税では日本所得税と同様に所得控除制度が規定されています。
基礎控除や扶養控除などは日本と仕組みが類似しており、下記のとおりです。なお、日本では給与収入から給与所得控除を差し引いて給与所得を算定しますが、ベトナムでは給与所得控除に相当するものがないために、給与収入がそのまま給与所得となり、日本に比べて大幅に課税所得が増加してしまいます。

 

① 基礎控除
全ての居住者として納税する者の控除することができ、ベトナムに入国した月から適用することが可能です。つまり、入国した月が数日であったとしても、その月の所得をベトナムで申告する場合には、日割りをすることなく1,100VNDを控除できます。

 

② 扶養控除
扶養者1人当たり1ヵ月440VND控除すること可能です。また基礎控除と同様に、その義務が生じた月から1人当たり440VND全額控除できます。

【扶養控除の要件】

  • 納税者及び扶養者の税コードの取得
  • 18歳未満の子
  • 18歳以上の子の場合は身体障害もしくは就労困難者であること
  • 就学中の子は平均月収100万VND以下であること
  • 就労年齢(男性60歳 : 女性55歳)以上の親族の場合は身体障害もしくは就労困難者、かつ、平均月収100万VND以下であること

【扶養控除適用申請】

  • 18歳未満の子の場合、出生証明書または戸籍謄本
  • 就学中である場合には学生証等
  • 該当する場合には身体障害もしくは就労困難であることを証明する書類

③ 寄付金控除
ベトナムの法律に規定された団体に寄付されたもののみ控除できます。


④ 社会保険料控除
社会保険法に基づく強制保険の保険料は全額控除できます。日本の強制的な社会保険制度への掛金であっても控除可能で、健康保険料や厚生年金、雇用保険、介護保険に対する保険料も控除できます。


⑤ 外国税額控除
暦年の途中でベトナムに入国し、滞在日数が183日以上の場合、ベトナム居住者となり、原則として、日本で課税された所得をベトナムでも合算する必要があります。仮に日本で所得税が課されていた場合、ベトナム側で外国税額控除によりベトナム所得税を軽減させることがきるため、二重課税を排除することが可能です。ただし、下記の上限があるため、全額が控除できるとは限りませんので、ご留意ください。

税額控除限度額=ベトナムにおける所得税額×(ベトナム国外所得 / 全世界所得)

 

なお、上記④と⑤についてはその支払いに関する証明が必要となります。ただし、日本では、例えば1月からベトナムに入国した月までの証明書を取得することが困難ですが、日本の支払者が証明書・確認書として発行することで実務上は代替えすることができます。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 川越 太介

    この記事の著者

    川越 太介
    税理士法人山田&パートナーズ
    海外事業部 部長 税理士

    2006年に大阪の税理士法人にて勤務。2017年に税理士法人山田&パートナーズに入所。日本国内では相続、事業承継、組織再編やM&Aなどの業務に従事しており、現在、ベトナムにおける税務・会計サービスを提供している。主な対応可能業務は会計税務顧問、進出支援、不正調査・内部統制、DD、VAL、移転価格コンサルティングなどである。

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