海外デスクレポート

2024年1月5日

IT企業の優遇税制 (ベトナム)

IT企業の優遇税制 (ベトナム)

ベトナムではITに対しての投資を積極的に行う観点から、ベトナムで活動するIT企業に対して、一定の優遇税制を制定しています。まず設立後、課税所得が発生してから、4年間免税、かつ、その後9年間は50%の減税となっており、また、同時並行的に売上発生から15年間は優遇税率10%が適用されることになっています。つまり、通常の法人税率が課税所得に対して20%であるところ、初年度から課税所得が発生した場合、実質、4年間は免税であり、5年目から13年目までは5%、14年目~15年目までが10%の法人税率が適用され、優遇されることとなっております。

ただし、上記のようなIT企業の税制優遇を適用するためには、以下のような要件を充足する必要があります。

 

【対象となる事業】

① ソフトウェアの開発であること
② 13/2020/TT-BTTTTに規定されているソフトウェアの開発であること(以下、例示)

  • オペレーティングシステムソフトウェア
  • ネットワーク管理ソフトウェア
  • セキュリティおよび暗号化ソフトウェア
  • 一般的なビジネス生産性アプリケーション
  • プログラミングソフトウェア etc

【開発プロセス要件】

① 要件定義・・・機能や構成などソフトウェアの要件を決定する。
② 分析・設計・・・開発アルゴリズムの確立や要求された機能の設計、分析をする。
③ プログラミング・コーディング
④ 検査・テスト・・・システムテスト、機能テスト、エラー可能性診断。
⑤ 完了・梱包・・・ソフトウェアの完成と説明書の同封など包装する。
⑥ インストール・発送・使用説明・メンテナンス・・・ソフトウェアの設置、テスト。
⑦ 販売・貸与・配布・・・ソフトウェア製品の広告、販売。

 

さらに、優遇を適用した企業は、毎年、情報通信省へ開発したソフトウェアの情報や工程などを報告しなければなりません。

IT企業の税制優遇を適用させる場合には、事前に上記を踏まえた事業計画の策定が必要です。また、法人設立の際には、上記要件を満たすようなライセンスを申請する必要があることに注意することが重要です。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 川越 太介

    この記事の著者

    川越 太介
    税理士法人山田&パートナーズ
    海外事業部 部長 税理士

    2006年に大阪の税理士法人にて勤務。2017年に税理士法人山田&パートナーズに入所。日本国内では相続、事業承継、組織再編やM&Aなどの業務に従事しており、現在、ベトナムにおける税務・会計サービスを提供している。主な対応可能業務は会計税務顧問、進出支援、不正調査・内部統制、DD、VAL、移転価格コンサルティングなどである。

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