海外デスクレポート

2024年7月12日

ベトナムのグローバル・ミニマム課税について (ベトナム)

ベトナムのグローバル・ミニマム課税について (ベトナム)

2023年11月末に決議されたベトナムグローバル・ミニマム課税ルール2024年から施行されます。ベトナムにおける標準法人税率は20%となっており、工業団地特有の優遇税制やIT企業に対する免税・減免があります。しかし、グローバル・ミニマム課税制度の施行により、これらの優遇税制適用対象となる納税者は最低でも15%の税負担が義務付けられる可能性があります。

 

具体的な内容は以下の通りです。

① 適用対象企業
直近4年分の会計年度のうち少なくとも2年分で、最終親会社の連結財務諸表における収益が75,000万ユーロ以上に相当する多国籍企業 が対象となります。

② 課税ルール
ベトナムでは(a)国内ミニマム課税(QDMTT)と(b)所得合算ルール(IIR)の2つの課税方式が採用されます。QDMTTは日本の親会社が連結ベースで適用対象になった際にベトナムにある事業体に課税する課税方式す。IIRはベトナムにある会社が最終親会社となっている場合の課税方式となります
(a) QDMTT
追加税率 × 追加課税対象利益 + 追加調整税額(あれば)
(b) IIR
追加税率 × 追加課税対象利益 + 追加調整税額(あれば) - QDMTT
※ 追加税率=15%-実際の税率

③ 申告と納税手続き
多国籍企業グループに属するベトナム法人は適格グローバル・ミニマム課税申告書と説明書を以下の期限までに作成し、申告納税をする必要があります。
(a) QDMTT:会計年度終了後12ヵ月以内
(b) IIR:初年度は会計年度終了後18ヶ月以内、以降は15ヶ月以内

④ 適用除外
ベトナム法人とその他すべての事業体が、各会計年度において以下の条件をすべて満たす場合、当該年度のQDMTTまたはIIR0とするとされます
- 平均総収入が1,000万ユーロ未満である。
- 平均税引前利益が100万ユーロ未満または損失である。

 

ベトナムでグローバル・ミニマム課税が適用される日系企業は限定的ではありますが、連結売上ベースでグローバル・ミニマム課税適用対象となる会社が、ベトナムにおける優遇税制を1つの進出目的とする場合には、その優遇税制の取り扱いと本税制への影響を確認する必要があります。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 川越 太介

    この記事の著者

    川越 太介
    税理士法人山田&パートナーズ
    海外事業部 部長 税理士

    2006年に大阪の税理士法人にて勤務。2017年に税理士法人山田&パートナーズに入所。日本国内では相続、事業承継、組織再編やM&Aなどの業務に従事しており、現在、ベトナムにおける税務・会計サービスを提供している。主な対応可能業務は会計税務顧問、進出支援、不正調査・内部統制、DD、VAL、移転価格コンサルティングなどである。

海外デスクレポートに戻る
すべて見る

CONTACT US

弊社へのご質問、ご依頼、ご相談など
各種お問い合わせはこちらにご連絡ください。

お問い合わせはこちら