国税庁は、ホームページに「平成26年度における租税条約等に基づく情報交換事績の概要」を発表しました。国税庁は、企業や個人の海外取引を巡る課税逃れを防ぐため、租税条約等の規定に基づき、諸外国と情報交換を行っています。現在は93の国・地域と租税条約や租税協定を締結して協力体制を築いています。
情報交換には主に、「要請に基づく情報交換」、「自動的情報交換」、「自発的情報交換」の3つの類型があります。
このうち、「要請に基づく情報交換」は、個別の納税者に対する調査等において、国内で入手できる情報だけでは事実関係を十分に解明できない場合に、条約等締結相手国・地域の税務当局(外国税務当局)に必要な情報の収集・提供を要請するものです。発表によると、平成26年度に国税庁が外国の税務当局に要請した情報交換の件数は526件で、前年度に比べ26.9%減少しています。地域別にみると、アジア・大洋州の国・地域向けの要請が396件と、全体の7割以上を占めています。
「自動的情報交換」は、法定調書等から把握した非居住者等への支払等(配当、不動産所得、無形資産の使用料、給与・報酬、キャピタルゲイン等)に関する情報を、支払国の税務当局から受領国の税務当局へ一括して送付するものです。国税庁では、この情報を申告内容と照合し、海外投資所得の申告漏れ等の把握に活用しているそうです。
日本では平成27年度税制改正において、国内に所在する金融機関から口座保有者の氏名、口座残高、利子・配当等の年間受取総額等の情報を報告させる制度が導入されましたが、同制度は平成29年1月1日から施行されます。外国税務当局との情報交換がますます進みそうです。