国土交通省は3月26日、令和6年1月1日時点(※)の公示地価を公表しました。
公示地価とは、土地取引における特殊な事情などが取り除かれた、自由な取引において通常成立すると考えられる1平方メートル当たりの価格を示します。調査は、全国26,000地点を対象に実施されました。
公示地価の決定は、まず1地点について不動産の鑑定評価の専門家である2人の不動産鑑定士が各々別々に現地を調査し、最新の取引事例やその土地からの収益の見通しなどを分析して評価を行います。さらに、地点間や地域間のバランスなどを検討し、国土交通省の土地鑑定委員会が最終的に決定しています。7月頃、国税庁より公表される相続税路線価は、相続税及び贈与税の算定基準となる土地評価額ですが、公示地価の8割程度が目安とされています。
令和6年地価公示においては、景気が緩やかに回復している中、地域や用途などにより差があるものの、三大都市圏・地方圏ともに上昇が継続するとともに、三大都市圏では上昇率が拡大し、地方圏でも上昇率が拡大傾向となるなど、上昇基調を強めています。
(出典:国土交通省「令和6年地価公示の概要」)
全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。
三大都市圏では、全用途平均・住宅地は東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。商業地は東京圏、名古屋圏は3年連続、大阪圏では2年連続で上昇し、上昇率が拡大しています。
地方圏をみると、地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも11年連続で上昇し、上昇率が拡大しています。地方四市を除いた地域では全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大しています。
用途別にみると、住宅地では、都市中心部や利便性・住環境に優れた地域における住宅需要は堅調で、地価上昇が継続しています。外国人にも人気の高いリゾート地では、別荘やコンドミニアムなどの需要が増大し、高い上昇となった地点が見られます。
商業地では、都市部を中心に、人流回復を受けて店舗需要の回復傾向が続くほか、オフィス需要も底堅く推移したことなどから、地価の回復傾向が進んでいます。また、都市中心部の交通利便性等に優れた地域では、マンション需要との競合により、高い上昇となった地点が見られます。
商業地の変動率上位をみると、大手半導体メーカーの工場が進出する地域(熊本県菊池郡、北海道千歳市)や外国人観光客に人気のスノーリゾート地(長野県白馬村)が上位を占めています。
(出典:国土交通省「令和6年地価公示の概要」)
(※)今回の調査時点は1月1日午前0時で、同日午後4時10分に最大震度7を記録した能登半島地震の影響は考慮されていません。