執筆:アメリカ担当
(1) 投資永住権プログラム(EB-5) の改正
EB-5は50万ドル以上の一定の投資をすればグリーンカード取得もできる制度として、米国に移住されたい方々に広く使われています。先月7月24日にEB-5の投資額等の改正に関する規定が発表されました。
改正の主なポイントは最低投資額50万ドルが90万ドルへと変更となることです。投資額の値上げはEB-5プログラムが制定された1990年代以来、初めての改正になっているため注目を集めています。適用開始については2019年11月21日以降の申請が対象となっており、それまでは現行の最低投資額50万ドルでの申請ができます。
(2) ビザ審査項目の追加
2019年6月より、ビザ申請書類(DS160とDS260) に新しい質問が追加され、申請者は過去5年間に使用したSNSアカウントの情報(プロバイダ名やユーザー名)の提供が必須になりました。これによりSNS上で一般にシェアされている情報もビザ審査の対象になります。移民局が特にチェックしているのは犯罪行為・テロの誘発や支援に関するコメントですが、その他にも、SNS上に記載している情報とビザ申請書類に記入した情報が合致しているかも確認されます。SNS情報の記載を忘れて申請書類を提出し、後日発見されたときは虚偽の報告をしたということでビザを却下される恐れもあります。
(3) お客様からよく質問のあるビザ
- E2 投資駐在員ビザ
日本法人が米国進出し就労ビザを申請する場合、このE2ビザの利用が多い。
対象者は、投資家やマネージャー。50%以上の株を日本人(日本法人)が保有しないと出せない。個人投資家、中小法人でも米国に投資をすれば取得可能。
発行期間は最大5年(その後も更新可能)
- L1 企業内転勤ビザ
親子会社間での転勤で使われるビザ。基本的に日本の親会社でシニアマネージャーや重役ポストについていた方が対象。E2ビザと違い、比較的大規模な会社でないと取得が難しくなっていきている。
発行期間は最初3年(その後2年、2年の更新ができ、最長7年)
- H1B 特殊技能職ビザ
医師、会計士、財務アナリスト、コンピュータプログラマー等、特殊技能を有する職業に従事する人が該当。管理職以上でなければいけないというような役職の規定はなく、新卒者でも取得が可能。毎年の発行可能件数が決まっており、最近は約35%と確率が低くなってきている
発行期間は最大3年(その後3年の更新ができ、最長6年)
- J1 交流訪問者ビザ
教育、芸術、科学の分野における人材、知識、技術の交流を促進するためのビザで、トレーニーやインターンシップの際に使われる。雇用主だけでなく、J1スポンサー団体からの承認も必要。
発行期間は最大1.5年間(更新はなし)