執筆:中国担当
中国外貨管理局は2019年10月25日に「国家外貨管理局が越境貿易・投資を更に円滑化を促進する通知」(匯発[2019]28号、以下「本通知」)を発表した。この通知により、越境貿易及び投融資が自由化・円滑化される見込みである。通知の概要は以下の通りである。
以上のうち、円滑化政策の中でも最も注目されるのが、⑦非投資性外資系企業の中国国内再投資規制の緩和と⑩外債管理方法の改革の2つである。
⑦ 非投資性外資系企業の中国国内再投資規制の緩和
2015年に投資性会社に限定した形で、資本金での中国国内再投資不可の規制が緩和されたが、一般会社にはこの規制は認められていなかった。投資性会社の設立には一般的に多額の初期投資が必要とされることや設立の手続きの煩雑さから、外資中小企業にとって投資性会社設立のハードルが高く、実際にこの規定を適用した中国国内での再投資は進んでいなかった。本件改正後は、外資の一般会社であっても資本金で中国国内での株式再投資が認められるため、外資企業であっても設立直後に資本金で下請け工場への株式投資行うことや代理販売店への株式投資も可能となる。
⑩ 外債管理方法の改革(一部地域限定)
現行の外債管理法では、日本本社から親子ローンを借りる際に、借入契約書を都度、外貨管理局で登録する必要があり、かつ全額返済を行ってから1か月間以内に外貨管理局に解消申告しなければならない。本件改正後は、一回のみ外債借入限度額(自己資本の2倍)を申告して、限度額以内の外債は何回でも自由に借入、使用、返済できることとなり、親会社からの資金支援がより円滑となる。今回は、大湾区、海南省の地域限定政策として発表されたが、今後他の主要都市、また中国全国にその適用範囲を拡大する可能性が高い。