2023年12月29日の全国人民代表大会常務委員会で会社法の改定が承認され、2024年7月1日から施行されます。今回の改定は資本金制度、会社組織等に関する大きな変更が含まれています。
ここでは、資本金制度の改定が与える外資企業への影響を説明します。
2018年会社法 |
2023年会社法 |
改定ポイント |
第二十六条 有限責任会社の登記資本金とは、会社登記機関で登記され、株主が払い込みを確定した出資額を指す。
法律・行政法規及び国務院が登記資本金の払込、登記最低金額に別途規定がある場合には、その規定に従う。 |
第四十七条 有限責任会社の登記資本金とは、会社登記機関で登記され、株主が払い込みを確定した出資額を指す。その資本金は、会社の定款に基づいて、会社の設立日から5年以内に払い込まなければならない。
法律・行政法規及び国務院が登記資本金の払込、登記最低金額、払込期限に別途規定がある場合には、その規定に従う。 |
登記資本金の払込期限を5年と設定する。これまでは特に制限がなく、資本金の払込期限は経営期限に設定しているケースが多い。
今回の改正は、これから設立する会社だけではなく、すでに設立された会社も対象になる。 |
第二十七条 株主は貨幣以外に、現物、知的財産、土地使用権等価値が算定できる、かつ、譲渡できる非貨幣資産を出資することできる。ただし、法により出資できないものを除く。 |
第四十八条 株主は貨幣以外に、現物、知的財産、土地使用権、持分、債権等価値が算定できる、かつ、譲渡できる非貨幣資産を出資することできる。ただし、法により出資できないものを除く。 |
現物出資対象資産に持分と債権が追加された。 |
第一百六十八条 積立金は会社の欠損補填、生産管理拡大、資本金増加に使用することができる。
ただし、資本積立金は欠損補填に使用することはできない。 |
第二百十四条 積立金は会社の欠損補填、生産管理拡大、資本金増加に使用することができる。
欠損を補填する場合に、まず任意積立金と法定積立金を優先して使用し、それでも補填しきれない場合は、規定により資本積立金を使用する。 |
資本積立金による欠損補填が可能となった。任意積立金・法定積立金→資本積立金の順番で欠損を補填することができる。
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第二百二十五条 第二百十四条により欠損を補填しても欠損が残る場合は、登記資本金を減少することにより欠損を補填することができる。登記資本金により欠損を補填する場合は、株主への分配、株主の出資義務への免除ができない。
登記資本金により欠損を補填した後に、任意積立金・法定準備金が登記資本金の50%に達するまで配当できない。 |
登記資本金の減少により欠損金を補填することができる。欠損補填による配当制限を設ける。
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第二百六十六条 本法は2024年7月1日より実行する。
本法施行前にすでに設立された会社では、出資期限が本法に規定された期限を超過する場合に、法律・行政法規・国務院の例外的規定がある場合を除き、順次法定期限内に調整しなければならない。
出資期限、出資額に明らかに異常がある会社に対して、会社登記機関は法に基づき調整させることができる。具体的な施行方法は国務院の規定に従う。 |
5年経過しても登記資本金を全額払い込まれていない会社に対して、経過措置を設けた。
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※1 上記条文はすべて抜粋後の条文になります。
※2 2023年会社法:中华人民共和国公司法_中国人大网 (npc.gov.cn)
※3 2018年会社法:中华人民共和国公司法_中国人大网 (npc.gov.cn)
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