海外デスクレポート

2024年11月12日

退職年齢の延長について (中国)

退職年齢の延長について (中国)

近来、中国の総人口数が設立時の5.4億から2023年までの14.1億人に達しました。ハイスピードの成長とともに、高齢化率も年々上昇しています。2035年ごろに、60歳以上の高齢者数が4億人に、高齢化率が30%を超えて、重度高齢化社会に入ると予測されています。人口高齢化に対応するため、913日に全国人民代表大会常務委員会で退職年齢を段階的に延長する決定が通過しました。下記にて、退職年齢の延長の概要を紹介します。

 

① 202511日から、男性従業員と元法定退職年齢が55歳の女性従業員の退職年齢を4ヶ月ごとに1ヶ月延長し、それぞれ63歳と58歳まで段階的に延長します。元法定退職年齢が50歳の女性従業員の退職年齢を2ヶ月ごとに1ヶ月延長し、55歳まで段階的に延長することになります。別途法律の定めがある場合は、その定めに従うことになります。

② 2030年1月1日から、基本養老金(厚生年金のようなもの)の最低支払年数を年ごとに6ヶ月を引き上げて、段階的に15年から20年まで引き上げられます。法定退職年齢に達して、最低支払年数に満たない場合は、支払年数を延長するか一時払いにより、月単位で基本養老金を受け取ることができることとされています。

③ 基本養老金の最低支払年数に達した場合に、退職を繰り上げることができます。ただし、繰り上げる期間は3年までで、かつ、退職年齢が元法定退職年齢(女性従業員50歳/55歳、男性従業員60歳)より低い場合は繰り上げできません。また、法定退職年齢に達した場合に、企業との協議により、3年まで退職を延長することができます。別途法律の定めがある場合は、その定めに従う。
企業が従業員の要望に沿わず、強制的に又はみなし強制的に従業員に退職年齢を選ばせてはなりません。

 

※ご参考に退職年齢対照表及び最低支払年数表を添付します。

 

 

 

 

 

出典:全国人民代表大会常务委员会关于实施渐进式延迟法定退休年龄的决定__中国政府网 (www.gov.cn)

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
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  • 大井 高志

    この記事の著者

    大井 高志
    税理士法人山田&パートナーズ パートナー
    亜瑪達商務諮詢(上海)有限公司 総経理
    税理士 公認不正検査士

    2013年山田&パートナーズ入所。大手金融機関への出向後、2016年より上海へ赴任。中国系会計事務所への出向を経て2019年より現職。中国・香港・台湾における組織再編、進出・撤退支援、M&A関連業務、移転価格税制コンサルティング、コーポレートガバナンス、不正調査対応等のコンサルティング業務に従事。

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