執筆:アメリカ担当
2020年3 月18日に成立し、同年 4 月 1 日に施行される米国・連邦法「ファミリー・ファースト新型コロナウイルス対策法(Families First Coronavirus Response Act: FFCRA)
は、多くの雇用者に対し、新型コロナウイルスにより休職せざるをえなくなった従業員への有給休暇の付与を義務付ける内容となっています。 なお、雇用者が負担した給与相当額については、税額控除を受けることができます。
1. 施行期間
2020年 4月 1日~2020年 12月 31日となります。
2. 税額控除の対象となる雇用者とは
従業員数が 500人未満の民間企業等で、FFCRAの法律に基づいて適格有給賃金(Qualified sick leave wages等)を支払った雇用者が対象となります。
3.適格有給賃金(Qualified sick leave wages等)とは
・対象者
下記の(1)から(6)に該当する場合、適用対象となります。また、それぞれの状況に応じて支払額及び上限が定められています。
(1) 従業員が、新型コロナウイルスに関連する連邦政府、州政府、地方自治体 の命令(外出禁止令も含む)により隔離措置・自宅隔離の対象になっている場合
(2) 従業員が、新型コロナウイルスに関連して、自宅隔離するよう医療従事者 の指示を受けている場合
(3) 従業員に、新型コロナウイルスの症状が出ており、医療機関の診断を待っている場合
(4) 従業員が、上記(1)または(2)に該当する者の世話をしている場合
(5) 従業員が、新型コロナウイルスを理由とした学校の休校もしくは保育所が 閉鎖したことまたは子供の預け先の確保が不可能であることにより、18 歳以下の子供の世話をしている場合
(6) 従業員に、連邦機関である保健福祉省が財務省(Department of Treasury)および労働省と協議 の上定める「新型コロナウイルスに類似した症状」が出ている場合
・支払額と上限
理由(1)、(2)または(3):給与全額を支給。1日あたり上限 $511、2 週間の合計の 上限 $5,110。 理由(4)または(6):給与の 3分の 2を支給。1日あたり上限 $200、2週間の合計の 上限 $2,000。 理由(5):給与の 3 分の 2 を支給。1 日あたり上限 $200、12 週間の合計の上限 $12,000。
4. 雇用者の通知掲載義務
前述のように、新型コロナ対策法は、従業員数が 500人未満の民間企業および一 部の公的機関に適用されます。適用対象となる雇用者は、施設内の人目に付く場所(従業員の休憩室、廊下の掲示板やキッチン等、全従業員の目にふれる場所) に、新型コロナ対策法に関する通知を掲載しなければなりません。 なお告知期限は当初4月1日でしたが、4月17日まで延長されています。
在宅勤務・リモート勤務の従業員がいる場合には、①Eメール、②郵送、③社内オンライン掲示板、ウェブサイト等で、全従業員への周知を徹底することが必要となります。
労働省が以下のリンクで1ページにまとめた掲載例を載せていますので、こちらご参考ください。
https://www.dol.gov/sites/dolgov/files/WHD/posters/FFCRA_Poster_WH1422_NonFederal.pdf
- 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
- 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
- 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承くだ