中国/元利返済猶予臨時措置細則を公布
新型コロナウィルスの感染拡大による影響を受ける中小企業の生産・操業再開を支援するため、2020年3月1日中国銀行保険監督委員会、人民銀行、発展改革委員会、工業信息化部、財政部は2月25日中国国務院常務会議に決定された方針(前回の記事)に従い、「中小型企業借入元本利子の返済猶予臨時措置」(銀保監発[2020]6号)を公布した。同日に行われた記者会見で実施細則も明らかになった。
実施細則の概要
【措置内容】
1. 企業からの返済猶予申請に応じて、2020年1月25日以降返済期日が到来する貸付元本の期日を最長2020年6月30日まで延長することができる。
2.2020年1月25日以降返済期日が到来する貸付利子の支払期日を最長2020年6月30日まで延長することができ、当該延長に係る滞納金を免除する。
【措置適用対象者】
1.コロナウィルスの感染拡大により、資金繰りが一時的に厳しくなった中小型企業(地域の指定はなく、小規模事業主を含む。)
2.湖北省の全部企業(大企業を含む。)
【実施細則】
1. 適用対象企業は銀行に対し申込書を提出する必要がある。銀行は店舗の以外に、ウェブ受付、スマホアプリ受付を設置すべきである。
2. 銀行は遅延なく、与信審査手続きを進め、一定期限以内に回答しなければならない。
3. 銀行は企業と相談した上で、返済期限を設定する。業績が不調でない企業であっても必要に応じ期限の再延長が認められる。
4. 中国における政策性銀行、大型国有銀行、株式銀行のみならず、外資銀行現地法人からの借入金も対象とする。
5. 臨時措置の適用に伴い、銀行は該当先の与信格付を任意的に下げないように、与信審査の徹底を求める。臨時措置の適用により、借入元本と利子の返済期限を延長する場合には、「企業信用管理システム」上の不信用記録の対象としない。しかし、企業の生産が正常化した後においても貸付元本と利子の返済できない場合、不良貸付と認定する。
2020年3月1日時点において、企業の生産再開を促進するべく、中国の半数以上の省・市・自治区は交通規制を解除している。しかし、地域別の規制により企業の稼働率の低く抑えられ、本格的な事業の再開ができない企業が大半である。特に中小企業の資金繰りは影響を受けやすいことから、中国政府は中小企業の経営安定を確保すべく金融支援措置だけでなく、様々な政策を打ち出している。
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