シンガポールでは、2020年第一四半期にCovid-19が流行し始めたことにより、住宅価格や賃料が一時的に下落しましたが、その後、2023年第一四半期まで3年間、住宅価額は連続して上昇し、史上最高値を記録しました。2022年に大規模な住宅の供給が行われ、2023年には2016年以来の大規模な住宅供給戸となりました。2023年第1~3四半期の累計供給戸数は、昨年の同期間の3倍以上となり、2023年通年では合計約20,400戸の民間住宅が竣工すると予想されています。さらに、追加印紙税(ABSD)税率の引き上げ政策は、海外投資家による住宅の購入を抑制しつつ、持ち家として購入する地元住民の住宅購入を優先するために実施されています。当該政策の影響により、2023年第2四半期には、住宅価格が3年ぶりに下落し、住宅賃貸の伸びも大幅に鈍化しました。また現在(2023年第2四半期)も、上記対策の影響で、住宅価格はほぼ横ばいの状況であり、住宅賃料については緩やかなペースでの上昇となっております。
依然として底堅さを維持しているものの、今後は、不透明な経済見通し、高金利、不動産冷え込み対策の影響を受け、買い控え傾向が強まり、賃貸価額の勢いについても大量の住宅供給を背景に、一旦弱まることが予想されます。
【参考】購入者印紙税 (BSD) 制度の変更について
シンガポールでは、居住用不動産を購入した際に通常の印紙税に加え、追加印紙税(ABSD)を支払う必要があります。このABSDは取得者及び取得件数に応じて税率が異なります。
このABSDについて、住宅価額の上昇を背景とし、シンガポール政府は2023年4月27日に税率の引き上げを行いました。
購入者の状況 |
税率 |
2023年4月26日以前 |
2023年4月27日以後 |
居住用不動産 |
外国人 |
30% |
60% |
法人 |
35% |
65% |
PR(永住権保有者)且つ1物件目 |
5% |
5% |
PR(永住権保有者)且つ2物件目 |
25% |
30% |
PR(永住権保有者)且つ3物件目 |
30% |
35% |
シンガポール国民且つ1物件目 |
課税なし |
課税なし |
シンガポール国民且つ2物件目 |
17% |
20% |
シンガポール国民且つ3物件目 |
25% |
30% |
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