海外デスクレポート

2014年6月23日

シンガポールの会計情報

シンガポールの会計情報

執筆:シンガポール担当

シンガポール会計基準はほぼ国際財務報告基準(IFRS)と一致しています。

会計/ディスクロージャー制度

財務諸表の報告・公開義務

日本とは異なり非公開会社でも一定の場合を除いて財務諸表が登記制度を通じて一般に公開されます。
非公開会社も含め株式会社は原則として財務諸表を登記局に登記し一般に公開する義務があります。定時株主総会に提出された財務諸表は株主総会から1ヶ月以内に監督官庁であるAccounting and Corporate Regulatory Authority(「ACRA」)に登記し一般に公開されることになります。
ただし、以下のエクゼンプト・プライベートカンパニーに該当する場合には財務諸表の登記開示義務は免除されます。
株式会社のうち(1)株式譲渡制限が定款で規定され、かつ(2)株主数が50名以下である会社は、プライベートカンパニー(非公開会社)とされます。プライベートカンパニーのうち(1)株主がすべて自然人であり、かつ(2)株主数が20名以下である会社はエクゼンプト・プライベートカンパニー(免除非公開会社)となります。

会計基準

会計基準 概論 IFRS/日本基準との相違点

シンガポールの会計基準であるSFRS(Singapore Financial Reporting Standard)は、基本的には国際財務報告基準であるIFRS(International Financial Reporting Standard)とほぼ一致しており、構成や基準番号もほぼ同じものとなっています。ビジネスのハブ拠点として世界中の多国籍企業を誘致することを国家戦略としているシンガポールは、積極的にグローバルスタンダードを受け入れており、会計基準も早い段階から国際会計基準を導入しています。

一部についてIFRSとの相違がありますが、実務上影響があるものとして連結財務諸表の作成要否があります

【連結財務諸表作成要否】

国際会計基準IFRSでは以下の要件をすべて満たす場合には連結財務諸表の作成が免除されることと規定されています。

(1) 当該会社が子会社でありその株主が連結財務諸表を作成しないことについて同意している
(2) 当該会社の負債証券および持分金融商品が公開市場(自国及び外国の株式市場、または、店頭取引)において取引されていない
(3) 当該会社が、公開市場で証券を発行する目的で証券委員会またはその他の規制当局に対して財務諸表を提出しておらず、提出を準備してもいない
(4) 当該会社の上位親会社がIFRSに準拠した連結財務諸表を作成し公開している

具体例として、

– 日本法人がA国に中間持株会社を有しており、その傘下にB国子会社を有している
– 日本法人は上場企業であり、日本会計基準に準拠した連結財務諸表を作成し一般開示している

A国の会計基準がIFRSの場合、上位親会社である日本法人がIFRS以外の会計基準で連結財務諸表を作成しているため、上記(4)の基準を満たさず、A国の中間持株会社レベルでの連結財務諸表作成義務は免除されません。
シンガポール会計基準SFRSでは上記(4)の基準について、準拠すべき会計基準は規定していません。

– 当該会社の上位親会社が連結財務諸表を作成し公開している

そのため上記事例において、中間持株会社をシンガポールに設置した場合には、日本の親会社が日本基準で連結財務諸表を作成していたとしてもシンガポールレベルの連結財務諸表の作成開示は免除されます。
世界中の多国籍企業を誘致しシンガポールに地域統括会社の設置を奨励しているシンガポールならではの配慮であるものと考えられます。
なお、日本の親会社が未上場企業等の場合で財務諸表を一般に公開開示していない場合には、たとえ日本で連結財務諸表を作成していたとしても上記(4)の基準の基準を満たさず、シンガポールの中間持株会社は法定の連結財務諸表を作成し、監査を受けたうえで一般に登記開示する義務がある点に留意が必要です。

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