海外デスクレポート

2024年10月2日

フィリピンにおける電子商取引者、金融サービスプロバイダーにおける源泉徴収制度 (フィリピン)

フィリピンにおける電子商取引者、金融サービスプロバイダーにおける源泉徴収制度 (フィリピン)

1. 歳入覚書回状RMC 79-20242024711日)

2024715以降、売り手と買い手を結びつけるオンラインプラットフォームを運営する電子マーケットプレイス運営者(Electronic Marketplace operator)は、売り手/商人に対する送金総額に対し源泉徴収を行う必要があります。

一方、デジタル技術を利用して金融サービスを提供するデジタル金融サービスプロバイダー(Digital Financial Service Provider)は、歳入規則(RR No.16-2023)及びその他の政府機関の要件に準拠するため、システム調整のための追加時間を要するものとして、先に2024714日まで延長されていた暫定期間を、さらに90日間延長し20241012日まで延長することが発表されています。

電子マーケットプレイス運営者(Electronic Marketplace operator)及び金融サービスプロバイダー(Digital Financial Service Provider)が準拠すべき歳入規則(RR No.16-2023)の内容は、以下のとおりです。

 

2. 歳入規則(RR No.16-2023)(20231215日)

歳入規則(RR No. 2-98)が改正され、電子プラットフォーム事業者が行う売り手/商人への送金については、源泉徴収の対象とされます。この規則は、デジタル経済の成長に対応し税収を確保するための措置として導入されました。但し、以下の場合、源泉徴収の対象外となります。

  1. 過去の課税年度における売り手/商人に対する年間総送金額が50万ペソを超えない場合
  2. その課税年度における売り手/商人に対する累計送金総額が50万ペソを超えない場合
  3. 売り手/商人が、現行法または条約に基づいて免税の適用を受ける場合、または軽減税率の適用を受ける場合(当該売り手/商人が、免税または軽減税率の適用を受けることを証明するための必要な証明書、クリアランス、ルール、またはその他の文書を保管しており、電子プラットフォーム事業者に提出することが条件。)

なお、すべての売り手/商人は、1997NIRC236条(改正後)に従い、電子プラットフォーム上で事業を開始する前に、フィリピン内国歳入庁(BIR)に登録する義務があります。これは、不正取引から購入者/消費者の利益を保護する目的のためで、電子マーケットプレイス運営者(Electronic Marketplace operator)は、販売業者/加盟店認定の最低要件としても売り手/商人に対し、CORCertificate of Registration)またはBIR Form No. 2303の提出を求める必要があります。

モバイル決済サービス/電子ウォレットは必ずBIRに登録された社名名義の口座に入金を受ける必要があり、オーナー名義等の個人名義口座にて入金を受けることはできません。キャッシュレス決済を行う際には、デジタル金融サービスプロバイダー(Digital Financial Service Provider)は、プラットフォーム使用料と源泉徴収税額を控除した残額をBIRに登録された社名名義の口座に送金することとなります。

したがって、歳入覚書回状RMC 79-2024のとおりデジタル金融サービスプロバイダー(Digital Financial Service Provider)は、20241013日以降、売り手/商人に対する送金総額に対し源泉徴収を行わなければならないため、留意が必要です。

※歳入規則(RR No.16-2023)において、電子マーケットプレイス運営者(Electronic Marketplace operator)とデジタル金融サービスプロバイダー(Digital Financial Service Provider)に対する源泉徴収にかかる暫定期間は、BIRから別途発行される歳入覚書にて実施手続きとタイムラインを定めるとされていますので、BIRから歳入覚書が後日発行されましたら、デジタル金融サービスプロバイダー(Digital Financial Service Provider)に対する暫定期間も延長、もしくは見直しが入る可能性があります。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。

 

【 この記事の著者 】

坂本 佳代

税理士法人山田&パートナーズ 海外事業部 
・カンボジア税法ディプロマ資格者
・カンボジア公認会計士・監査士協会(The Kampuchea Institute of Certified Public Accountants and Auditors)アフィリエイトメンバー登録者

2014年に日系コンサルティングファームに入所、2016年よりインド・バンガロールに駐在。2019年よりカンボジア・プノンペンに駐在。インド、カンボジアに会計事務所責任者として常駐していた約8年、現地日系進出企業の様々な悩みにワンストップで対応。(会計税務全般、進出及び撤退コンサルティング、登記及びライセンス登録業務、労務、国内取引及びクロスボーダー取引にかかる税務アドバイザリー、現地税務当局との折衝、抗弁書作成等の税務調査対応の経験多数)2024年に税理士法人山田&パートナーズに入社。

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