執筆:タイ担当
本Webセミナーでは、「投資環境」と題して、タイでビジネスを展開するにあたり、最低限抑えておくべき内容をご説明いたします。
初めてタイについて学ぶという方も、少しはタイについてご存知だという方も、タイの基礎的な環境をしっかりとつかむことができる内容になっています。
基礎情報
基礎情報
- 外部環境分析-1
ここでは、PEST分析のフレームワークを用いてタイの外部環境を分析します。今回は前半として、まず始めに「PEST分析」について説明した後に、「Society-社会環境」を取り扱います。
- 外部環境分析-2
ここでは、PEST分析より「Economy-経済環境」を取り扱います
- 外部環境分析-3
ここでは、PEST分析~「Politics-政治環境」を取り扱います
- 外部環境分析-4
ここでは、PEST分析~「Technology-技術環境」「PEST分析-全体総括」を取り扱います。
進出動向
日系企業のタイ進出の歴史は古く、20世紀初頭までさかのぼることができます。1954年に設立されたバンコクの日本人商工会議所は、現在では上海の日本人商工会議所に次ぐ世界で二番目の会員数(1,458社:2013年)を有しています。また、日本人商工会議所に所属していない法人を含めると、日本から進出をした法人の数は7000社を超えたと言われています。日本の海外直接投資の最大の受け入れ先は中国ですが、今年(2014年)に入り、日本からの対中投資が急減していることが報じられています。
このチャイナリスクを敬遠する日系企業の投資分散先として注目が高いのがASEAN諸国であり、とりわけその中心国である「タイ」が中小企業の魅力ある進出先として脚光を浴びています。充実したサプライチェーンを背景とし、多くの日系製造業がタイへの進出を果たしてきたが、近年では現地マーケットの堅調な成長により、付加価値の低い製造工程のアウトソース先としての進出のみならず、現地の消費市場を狙うための進出へと関心がシフトしてきているのがトレンドです。今後もタイは有力な進出国の一つでありつづけると考えられます。
規制/投資促進
外資規制
タイでは、外国人事業法(Foreign Business Act)により外国企業の参入を規制しています。外国企業とは外国資本が50%以上の企業をいい、対象業種を3つのカテゴリーに分類しそれぞれ規制しています。なお、製造業は規制されていません。
■業種1
特別な理由により外国人が従事できない事業であり、当該業種への参入は絶対的に禁止されています。新聞事業、ラジオ放送事業、テレビ放送事業、稲作、農業、牧畜、林業などがあります。
■業種2
国家の安全、伝統芸能、天然資源、環境等に影響を与えることから、閣議承認に基づく商務大臣の許可がない限り、当該業種への参入は認められていません。武器の生産販売、タイ工芸品の製造販売、製塩、製糖、木材加工などがあります。
■業種3
外国との競争力がまだついていない事業として、外国人事業委員会の了承に基づく商務省登録局長官の許可がない限り、当該業種への参入は認められていません。
小売業、卸売業、建設業、会計及び法律事務所など、サービス業全般にあたります。
なお、製造業は規制業種に入っていません。また、外国人事業法の規制対象である外国企業とは外国資本が50%以上の企業をいいますので、外国資本が50%未満の会社は外国人事業法の規制対象外となり、リスト1から3の業種への参入が可能となります。
投資優遇政策
タイでは、投資奨励法(Investment Promotion Act)に基づくタイ投資委員会(BOI)による投資奨励があります。BOIは奨励対象業種を7種類に分類し、条件に見合う新規投資に対して恩典を与えています。詳細はBOIから出されている「タイ国投資委員会ガイド」を参照ください。
タイ投資委員会(BOI)とは「Board of Investment」の略であり、「投資政策の策定」、「重要投資案件の許可」の役割を担っており、構成員は首相を委員長とし、工業大臣が副委員長、ほかに経済関係閣僚とタイ工業連盟、主要民間団体等の代表、顧問委員で構成されます。
奨励対象業種7種類とは以下の業種をいい、いずれもタイ国発展に寄与するかどうかが審査のポイントとなります。なお、奨励業種一覧に記載されていない事業であっても、タイ国に役立つ事業であれば許可が下りる場合もあり、柔軟に運用されています。
奨励対象業種7種類