海外デスクレポート

2024年12月17日

米国金融機関のリモートでの解約手続き (米国)

米国金融機関のリモートでの解約手続き (米国)

米国に以前お住いの方等で、一部の資産を米国に残したまま日本に帰国されるケースがあります。その際に問題となるのが、米国財産の日本への送金です。マネーロンダリングやなりすまし詐欺などの対策のため、米国金融機関の本人確認は年々厳しくなってきており、特に海外送金や解約のリモート手続きは容易ではありません。また、税務についても検討が必要な場合がありますので、注意が必要です。

 

1. 米国の預金を日本に送金したい場合

・手続き

リモートでの国際送金は、金融機関によっては受け付けていない又は送金上限が少額に設定されている場合があります。その場合でも、口座の解約に限っては全額の送金が可能としている金融機関もありますので、銀行にお問い合わせください。なお、解約しても問題ない場合は口座解約による送金を選択することになります。通常、口座解約用の書類は米国内への送金を前提としていますので、日本の銀行で受け入れたい場合は海外送金用の申請フォームの取得も必要です。

・税務

米国の銀行にある米ドル口座から日本の金融機関の米ドル口座に送金する場合は、為替差損益を認識する必要はありません。ただし、円転したり、他の資産を購入したりする場合は、為替差損益を認識する必要がありますのでご留意下さい。

 

2. 米国の401kIRAを日本に送金したい場合

・手続き

リモートでの手続きは、一般的にオンライン手続きが可能です。ただし、海外送金フォームの取得には個別の問い合わせが必要なケースがほとんどです。また、一部で米国内の銀行にしか送金できない場合や小切手での送金しか受け付けない場合があります。小切手で送金する場合は、日本側の銀行に海外小切手の換金が可能かあらかじめ確認しておくことをお勧めします。

・税務

原則的に401kIRAを日本で受け取る場合、事前にW-8BENを提出することで源泉徴収が免除され、米国での確定申告は不要となります。ただし、W-8BENを提出していても源泉徴収される場合もあります。源泉徴収された場合には米国所得税申告で還付が可能です。いずれの場合も日本の所得税では課税対象になりますので、日本の所得税申告は必要です。なお、米国籍や永住権を放棄した方は、特別な取り扱いがありますのでご留意ください。

 

3. 留意事項

上記の税務は、日本居住の日本人の方を前提としております。米国籍や米国永住権を有する方日本居住者は、課税の取り扱いが異なる場合があります。

 

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 遠藤 元基

    この記事の著者

    遠藤 元基
    Yamada & Partners USA, Inc.
    パートナー 日本税理士・公認不正検査士

    2007年税理士法人山田&パートナーズ東京本部入所、2011年福岡事務所開設・同所長就任。2019年よりベトナム及びタイに駐在。2023年より米国駐在。エステートプランニング、クロスボーダーM&A、グローバル組織再編、海外子会社不正調査など幅広い業務に対応。

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