海外デスクレポート

2020年9月4日

コロナ禍でのベトナム経済と外資企業の進出

コロナ禍でのベトナム経済と外資企業の進出

執筆:ベトナム担当

1. コロナ禍でのベトナム経済と外資企業の進出

ベトナム政府広報よると、COVID-19のパンデミックに直面した2020年上半期のベトナムの 国内総生産(GDP)は1.81%増加しており、製造業(4.96%増)および市場サービス部門 (卸売および小売4.3%増、金融・銀行・保険分野6.78%増)が主な要因となっています。 近年、ベトナムでは、日本、ドイツ、米国の企業の進出が増加しており、ASEANの他の国 と比較して、ベトナムの政治的安定性と高い経済成長の見通しより、優れたビジネス環境が あるとみられているようです。ドイツ商工会議所がベトナムで実施した最近の調査では、 ベトナムのドイツ企業の72%がベトナムへの投資計画の継続と、27%がさらなら雇用増を 想定していると回答されています。また、日本からのベトナム投資は、東アジア諸国の中で 2番目の規模となっており、登録資本金は600億米ドルを超えています(合計3,800億米ドルのFDI流入のうち)。 ただし、ベトナムでは依然としてインフラストラクチャとロジスティクスの改善、 知的財産権に関連する問題の解決、行政改革の強化、サブライセンスの削減など、いまだ 多く課題を抱えており、進出には事前調査が不可欠です。

2. ベトナムでの新型コロナ第2波

7月下旬にダナン市で約100日ぶりに市中感染者が確認され、ダナン市を含む一部の地域において、 実質ロックダウンとなりました。8月末現在で、感染者数(累計)が1044人(うち回復済707人)、 死亡者数(累計)は34人です。日本に比べ感染者数及び死亡者数は少ないものの、 隔離地域からの国内移動者に対して2週間の隔離を要請する地域があるなど、不法入国者が感染源の疑いもあり、 各地で外国人労働者に対する実態調査が行われるなど、国内では厳しい措置が取られている点が日本とは大きく異なります。 また、第1波の時と異なり、全国的な移動制限は設けず、クラスターの発生した場所や周辺エリア、市や省など 影響の生じている最小限の単位で、細かく行動制限等を設定する方式をとり、その他の地域は、 マスク着用やソーシャルディスタンスなどの規制はあるものの、通常の生活ができていることも特徴です。 発生地域では厳しい規制を実施したおかげで、感染者数、死亡者数ともの増加は鈍化しており、収束の兆しが出ており、 一方、発生地域外では各種規制は制限したことで、経済に与えるダメージの最少化でにも成功しているといえます。

3. ベトナム・日本間の国際線の再開の準備開始

現在、ベトナムでは、4月1日以降、国際商業便を全便停止しており、特に入国は自由にできません。 8月31日のベトナム政府広報によると、日本・韓国との国際線の再開協議が完了し、 現在、外務省、厚生省など各省庁の調整を行っており、9月中旬以降に国際線が再開される可能性があるようです。 日本・韓国はベトナム進出企業の多さ、日本の技能実習生制度から、ベトナムにとって日本・韓国との国際線は 最も重要な路線の一つとなっており、商業便の早期再開が求められていました。 当面、入国後に14日間隔離が必要な制度を前提として検討が行われている模様です。

 


  • 記載された内容は執筆者個人の見解であり、当税理士法人の見解ではないことをご了承ください。
  • 本記事の内容は一般的な情報提供であり、具体的な税務・会計アドバイスを含むものではありません。
  • 税制改正により、記載の内容と異なる取扱いになる可能性がありますことをご了承ください。
  • 遠藤 元基

    この記事の著者

    遠藤 元基
    Yamada & Partners USA, Inc.
    パートナー 日本税理士・公認不正検査士

    2007年税理士法人山田&パートナーズ東京本部入所、2011年福岡事務所開設・同所長就任。2019年よりベトナム及びタイに駐在。2023年より米国駐在。エステートプランニング、クロスボーダーM&A、グローバル組織再編、海外子会社不正調査など幅広い業務に対応。

海外デスクレポートに戻る
すべて見る

CONTACT US

弊社へのご質問、ご依頼、ご相談など
各種お問い合わせはこちらにご連絡ください。

お問い合わせはこちら