平成29年度税制改正により、タワーマンションなどの高層マンションにかかる固定資産税の計算方法が見直されそうです。
現在、マンションの固定資産税は、まず1棟全体としての固定資産税評価額を算定して、税の総額を算出した上で、各部屋の床面積に応じて税額を割り当て、各部屋の固定資産税額を計算しています。つまり、同じ床面積であれば階層に関係なく、固定資産税額は同額です。
一方、実際の取引価格は高層階ほど高いのが一般的です。低層階との価格差があるにもかかわらず、税額には反映されておらず、納税者に不公平感があると問題視されていました。
そのため、本改正では、高層マンションの階層の違いによる実際の取引価額の違いを考慮し、取引価格の傾向を反映するための補正を予定しています。
具体的には、高さ60mを超える居住用建築物のうち、複数の階に住戸が所在しているものを対象とし、固定資産税額を按分する基準となる各専有部分の床面積を、「階層別専有床面積補正率」により補正し、高層階になるほど固定資産税の税額が高くなるように見直すというものです。1棟当たりの税額の総額は変わりませんが、高層階では増税、低層階では減税になります。
「階層別専有床面積補正率」とは、階層が1階上がると税額の按分の基となる床面積が約0.26%大きくなるように設定された補正率をいいます。
なお、本改正は、固定資産税額の按分についての見直しであり、固定資産税評価額に関する見直しではないことから、相続税の評価について直接影響を与えるものではありません。
本改正は平成30年度から新たに課税されることとなるタワーマンションに適用される予定です。
※ 本内容は、平成29年度税制改正大綱及び関連省庁の公表資料に基づいています。今後の法令等により内容が変わる可能性がありますので、ご注意ください。
詳しい改正内容及び実務上の留意点等は、 弊法人ホームページ「平成29年度税制改正解説速報」 をご覧ください。