経産省は、8月28日に「中小企業の雇用状況に関する調査集計結果」を公表しました。
この調査は、平成27年の春闘妥結果等を踏まえた中小企業・小規模事業者における賃上げ状況を含む雇用状況等を把握するために、本年6月に中小企業・小規模事業者3万社を対象に行ったものです。調査票の提出のあった7,352社の状況について集計しています。
調査の集計結果を見ると、何らかの賃上げを行った中小企業・小規模事業者の割合は%にのぼり、前年の64.3%を3.3ポイント上回っています。地域別で見ても、賃上げを行った企業は全国的に増加しており、昨年度以上に賃上げが行われている状況が見られます。
調査では、「税制措置や政労使の取組等が賃金引上げ判断に及ぼした影響」についても聞いています。政府の成長戦略における、所得拡大促進税制の創設・拡充、法人実効税率の引下げといった税制措置や、取引条件の改善も含めた政労使の取組等の政策効果により、経営状況が改善したこと等が賃金引上げ判断に影響を及ぼしたか否かについて聞いたものです。調査結果によると、平成27年度で賃上げを実施した企業のうち、「判断を後押しした」とする企業の割合は20.5%でした。「判断を後押ししたとは思わない」の57.5%を大きく下回っており、この結果からは、政策等の直接的な効果はうかがえない状況です。
一方、東京証券取引所一部上場企業を対象にした同様の調査では、賃上げを実施した企業の割合は94.5%と高水準であり、「税制措置や政労使の取組等が賃金引上げ判断に及ぼした影響」についても「判断を後押しした」とする企業の割合は45.4%と、「判断を後押ししたとは思わない」の33.0%を上回っています。企業の規模による温度差がうかがえます。