国税庁は、「平成26事務年度における法人税等の調査事績」を公表しました。これによりますと、大口・悪質な不正計算が想定されるため調査必要度が高いとされた9万5千法人(前年度比+4.9%)に実地調査した結果、7万件(同+6.1%)から総額8,232億円(同+9.6%)の申告漏れが発見されました。
業種別にみると、不正発見割合の高い業種では、「バー・クラブ」が57.1%と13年連続のワースト1位となりました。次いで「パチンコ」29.6%、以下「ホテル、普通旅館」28.4%の順となっています。
1件あたりの不正所得金額が大きい業種では、1位は「パチンコ」5,722万円、次いで「電気通信機械器具卸売」2,543万円、以下「情報サービス、興信所」2,210万円、「自動車・同付属品製造」2,083万円、「鉄鋼卸売」1,963万円、「建売、土地売買」1,980万円と続いています。「バー・クラブ」は、不正発見割合の高い業種では1位となりましたが、金額が相対的に少ないため、不正所得金額が大きい業種の上位には入っていません。
一方、海外との取引を巡って申告漏れを指摘された企業は3,430社(同+1.5%)で、申告漏れの総額は全体のほぼ4分の1に当たる2,206億円(同+23.7%)に上っています。海外の取引先からの売上を除外するなどの不正計算を行うものが見受けられたようです。国税庁は租税条約等に基づく情報交換制度を積極的に活用するなど、深度ある調査に取り組むとしています。
また国税庁では、調査を行うにあたり、国民の公平感を著しく損なうものとして、事業を行っているにもかかわらず申告していない法人、無申告法人に対して重点的に調査を行ってきたようです。そのうち、稼動している実態を隠し、意図的に無申告であったものが252件(同+18.9%)あり、法人税17億2千万円(同△16.3%)の追徴課税をしています。