国税庁は、ホームページに「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を公表しました。FAQは下記6項目、全35問の設問で構成されています。
1.令和元年分の確定申告における申告・納付期限の一括延長関係(全11問)
2.申告・納付等の期限の個別延長関係(全6問)
3.納付等の手続関係(全4問)
4.納付の猶予制度関係(全7問)
5.申告所得税等の確定申告に係る申告相談関係(全6問)
6.新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係(全1問)
現在、個人の申告所得税、消費税、贈与税の申告・納付期限や一定の手続等は、令和2年4月16日まで一括して延長されています。自動的に延長されているので、個別の手続は不要です。
一方、法人税や相続税の申告・納付期限については、自動的な延長はされていません。そのため、延長が必要な場合には「やむを得ない理由」があるとして、個別に申請をする必要があります。
FAQでは、延長が認められる「やむを得ない理由」として下記のような具体例をあげています。
〔個人・法人共通 〕
①税務代理等を行う税理士(事務所の職員を含みます。)が感染症に感染したこと
②納税者や法人の役員、経理責任者などが、現在、外国に滞在しており、ビザが発給されない又はそのおそれがあるなど入出国に制限等があること
③次のような事情により、企業や個人事業者、税理士事務所などにおいて通常の業務体制が維持できない状況 が生じたこと
➣経理担当部署の社員が、感染症に感染した、又は感染症の患者に濃厚接触した事実がある場合など、当該部署を相当の期間、閉鎖しなければならなくなったこと
➣学校の臨時休業の影響や、感染拡大防止のため企業が休暇取得の勧奨を行ったことで、 経理担当部署の社員の多くが休暇を取得していること
〔法人〕
④感染症の拡大防止のため多数の株主を招集させないよう定時株主総会の開催時期を遅らせるといった緊急措置を講じたこと
〔個人〕
⑤納税者や経理担当の(青色)事業専従者が、感染症に感染した、又は感染症の患者に濃厚接触した事実があること
⑥ 次のような事情により、納税者が、保健所・医療機関等から外出自粛の要請を受け次のような事情により、納税者が、保健所・医療機関等から外出自粛の要請を受けたたこと
➣ 感染症の患者に濃厚接触した疑いがある感染症の患者に濃厚接触した疑いがある
➣ 発熱の症状があるなど、感染症に感染した疑いがある発熱の症状があるなど、感染症に感染した疑いがある
➣ 基礎疾患があるなど、感染症に感染すると重症化するおそれがある基礎疾患があるなど、感染症に感染すると重症化するおそれがある
今回の新型コロナウイルス感染症に関しては、災害時のように資産等への損害や帳簿書類等の滅失といった直接的な被害は生じていないものの、自宅待機や外出の自粛要請等、自己の責めに帰さない理由により、期限までに申告・納付等ができない場合も考えられます。そのため、国税庁でも柔軟な対応を検討しているようです。
なお、このFAQは、令和2年3月18日現在の法令等を基に作成されています。今後、緊急事態宣言が発令されると、発令された地域ではより経済活動が制限されるため、税務上の取扱いが変更となる可能性もあります。ご注意ください。
※ 本FAQは、その後、随時更新されています。