国税庁は、ホームページに「平成25事務年度における相続税の調査事績について」を発表しました。平成25事務年度に実施した、相続税の調査の状況をまとめたものです。
相続税の調査は、平成23年中及び平成24年中に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報を基に、申告額が過少であると想定されるものや、申告義務があるにもかかわらず無申告となっていることが想定されるものなどに対して実施されました。
調査件数11,909件(前年比△2.5%)のうち、申告漏れ等があった件数は9,809件(同比△1.5%)で、82.4%の高い割合で申告との非違が生じています。申告漏れがもっとも多かった相続財産は、現金・預貯金等、続いて土地、有価証券の順になっています。
今回の相続税の調査結果では、無申告事案が650件、申告漏れ課税価格が788億円把握されています。また、1件当たりの申告漏れ課税価格は8,945万円、相続税調査全体の3.45倍と大変高い数字になっています。国税庁では、無申告事案について、平成26事務年度においても積極的に調査を実施するとしています。
一方、海外資産関連事案に係る調査については、実地調査件数753件(同比+4.4%)のうち、申告漏れ等があった件数は124件(同比+9.7%)となっています。国税庁では、租税条約等に基づく情報交換制度を効果的に活用するなど海外資産の把握につとめており、平成26事務年度においても、資料情報や相続人・被相続人の居住形態等から海外資産の相続が想定される事案などについて、積極的に調査を実施するとしています。
相続税の調査件数は、国税通則法改正に伴う調査手続きの法定化により、事務量が増加したこともあり、過去10年間で最低となっています。その一方で国税庁は、相続税の無申告が想定される者に対し、無申告理由のお尋ね等による書面照会を行うなど、自発的な期限後申告書の提出を促しています。納税者の自発的な納税義務の履行支援等を目的とした実地調査以外の多様な手法を効果的・効率的に活用しようとしているようです。